第8話 動き始めた恋【燐編】
『はぁ…』
今日は何回もため息をついている…昨日の夢を見てから俺は恥ずかしくて太陽の顔が見れなくなった。
しかも…会うとさけてしまった!!朝は一緒に通学したが会話をされても全然返せなかった。
『燐?』
『ちょっと話しかけないで…』
『ごめん…』
朝はこんな感じで一方的に会話を終わらせてしまった。
太陽は悪くないのに…悪いのはおれなんだ。
自分でもあんな態度はないだろうと思うが顔を見ると話せなくなるんだからしょうがないだろ!!どうしたらいいんだよ。
そんな事を考えていても運命とは時に残酷なものだ。
『それでは授業を始めます!今日はグループワークを行うので前に貼ってあるグループにわかれて座ってください~』
何で今日はグループワークがあるんだよ…しかも3人グループで太陽と俺は同じグループだった!!唯一助けだったのはクラスのお調子者物がいて会話が途切れなかった事だ。
『グループになったら司会進行、書記、発表とそれぞれ役割を決めてくださいね~』
朝から気まずい雰囲気の重たい空気を飛ばしたのはクラスのお調子者である佐藤だった。
『はーい!俺が発表やるよ~♪それで司会進行は太陽で書記は字が綺麗な燐でいいよな?』
『あぁそうだな…』
太陽は納得したようで議題に対してどんどん進行をした。
『俺も別にそれでいいよ』
俺は発表しやすいよう紙に内容をまとめた。
その後はトントン拍子に話し合いが始まり、発表までしっかり出来た。
話し合いは太陽と佐藤が中心で話し合い俺は紙にまとめるだけだからとずっと下を向いた…さすがに話さないといけない時は佐藤の顔を見て話をした。
本当に往生際が悪いのは自分でわかっているが…そんな態度をしてしまった。
気づけば発表も終わり授業も終った。
『それでは授業を終わりにしますね~』
『気をつけ礼』
『ありがとうございました』
授業が終わると俺はそそくさと教室を出て2限が体育なので着替えに向かった…いつもは太陽と一緒に行くがクラスメイトに用事があるから先に着替えると伝言を頼んで1人で体操服に着替えた。
『はぁ…』
気にしなければいいのに、太陽の顔を見ると昨日のエッチは夢を連想して顔が赤くなる!しかも下が反応してしまうのだ。
『はぁ…どうしたらいいんだよ!?』
俺は八つ当たりだとわかっているがロッカーを叩いた!少し手が痛い…本当に自分は何やっているんだ。
『何がどうしたらいいんだ?』
ここにいないはずの太陽が出入り口にもたれかかりを出入り口をふさいでいた。
着替えも終ったし…太陽の顔を今は見たくない。
『別に何でない…そこをどけ!!』
俺は出入り口に向かって歩いた!道をふさいでる太陽なんて知るかと通ろうとした。
何も悪くない太陽に八つ当たりする俺は本当にどうしようもないなと自己嫌悪する。
『何もないわけないだろ!!
まさかの壁ドン状態になった!まるでここからは行かせないぞって感じで太陽の腕の中に閉じこめられた。
『何かあるなら俺の顔をみてから言えよ』
珍しく太陽の口調が厳しかった。
『別に…』
俺の方がどうにかしたいよ…あのエッチな夢から太陽の事をさらに意識しずぎてどうにもならないんだ。
俺の気持ちを太陽に伝えたら楽になるかも知れないけど…言えるわけないだろ!!お前が好きって言ったら今の楽しい関係は終わる。
考えれば考えるほど頭の中はぐちゃぐちゃになって目の前はぼやけてきた。
『えっ??泣くな燐』
太陽はおろおろとしてポケットからハンカチを出して涙を拭いた。
泣くな??あぁ…俺は泣いているんだ。
俺の目からはスーッと涙が落ち一向に止まらない…。
『本当にどうしたんだ?』
俺の事が本当に心配なんだと表情からひしひしと伝わってくる…俺の心は悲鳴をあげていた。
もう、思いを伝えてもいいんじゃないか?関係をこじらせて中学の最後の時みたいになるのは嫌だ。
俺はもう後悔はしないって中学の時に決めたんだ。
『実は俺さ…』
『お前の事が好きなんだ』
よし言えた…たとえどんな答えでも俺は後悔なんてしない!!思いを伝えないで終わるより伝えて断られたら方が俺は次に進めるんだ。
たとえ…進むのにどんなに時間がかかってしまっても俺は太陽に告白したことを後悔はしないと思う。
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