第5話 イチゴミルク

『はぁ…眠い』


 昨日は10時に寝たはずなのに眠いなぁ…これからSH(ショートホームルーム)の時間なのに、とりあえず起きてなくちゃと目をこする。


 キーンコーンカーンコーン…チャイムがなると1年A組の担任である武田優子(27歳独身)が入ってくる。


『皆さん、おはようございます~♪出席確認をするので座ってください!』


 先生が指示すると生徒らはめんどそうだがそれぞれの席に座った。


『皆さん座りましたね?それでは改めて出席確認をします』


 ◯◯君…◯◯さんと出席番号順に名前を呼んでどんどん確認していき出席確認が終わった。


『今日も皆さん全員いますね!!』


 今日の日課変更や提出物の話など確認が終わると先生は教室を出ていった。


『やっとSH(ショートホームルーム)が終わった…長かったなぁ!』


 もう少し早く終わっていれば授業が始まる前に自動販売機でイチゴミルク買えたのにと俺は愚痴る。


『燐どうした?眠いのか??』


 太陽が話しかけてきた…どう返事をしようか俺は悩んでいる。


 イチゴミルク飲みたいのに買いに行けなかったからイライラしてると素直に言うorまぁ眠いのもあるから眠いと言う…どっちにしよう?でもここは眠いと言おう!だってさぁイチゴミルクが買いに行けなくてイライラしてるとか乙女みたいだと俺は思った。


『うん…眠いだけ』


『そっか、じゃあこれ飲んで頑張れよ!』


 太陽が机の上にイチゴミルクを置き、頭をポンポンとして自分の席に戻って行った。


 何で…俺が飲みたいってわかったんだろう?しかも、いつイチゴミルク買ったんだ??いま渡したということは朝買うしかないのに…一緒に自転車で通学して途中まで一緒だったから買う暇なんてなかったと俺は疑問に思った。


 まぁ、考えてもわからない事だと結論をだして…イチゴミルクに手を伸ばした。


 紙パックの所についているストローを外して、ブスッと刺せば飲める…ここで注意なのが優しく持つ事!!強く持つと紙パックだからイチゴミルクが出てきてしまうのだ。


 飲む準備は整った~♪それではいただきます。


 やっぱりイチゴミルクは美味しいなぁ~♪俺はほとんどの日…毎日?イチゴミルクを飲んでる!もはや学校でイチゴミルクを飲むのが日課となってる。


 飲む時間は決まってないが…1日1回自分へのご褒美として飲んでる!まだバイトをしてない高校生の自分としてはちょっとした贅沢なんだ。


 イチゴミルクが贅沢なのかと考えた人!100円のジュースでも計算すると結構な金額になるんだよ~!学校に登校するのは月曜日~金曜日…まぁ、祝日があるともう少し休みが多い思うが今回は祝日はなしの1ヶ月だとどれくらいお金がかかるのか考えてみた。


 1週間で考えると7日のうち2日は土日だから1週間で学校に行くのは5日となる!そして1ヶ月は4週間だから4×5=20…イチゴミルクは1個100円つまり100×20=2000円もかかるのだ。


 毎月お母さんから1万円をお小遣いとして貰っているが、帰りにハンバーガーを食べたり…服を買ったりと色々な事に使用するとかなりきついのだ…そう考えてもらうとイチゴミルク1ヶ月2000円は大きいんだと感じてもらえたと思う。


 だからこそ、俺は1滴でも残さないように丁寧にイチゴミルクの飲むのであった。





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 ≪太陽の朝…≫


 少し時間をさかのぼる…


『燐、おはよう』


 燐が少し眠たそうだが、玄関から出てきた。


『おはよう…待った?』


『いや、俺も今来たところだから』


 燐の頭を見ると寝癖がついていた。


 髪の毛がピョコンと跳ねていて…おそらく急いできたから髪の毛をなおし忘れたんだと思った。


『寝癖がついてるよ』


『まじか…これでもなおしたのになぁ』


 燐は手で押さえて、どうだと笑顔を見せてきた。


『これでなおっただろ?』


『いいや…なおってないよ』


 俺は制服のポケットからくしを出して燐のサラサラとした髪の毛をとかした。


 何で男子がくし?と思うだろうが燐の寝癖をなおすために俺はいつも常備している…しかも、とかすだけで髪の毛がサラサラになる椿油配合の少し高めのくしだ。


『うん、なおったよ』


『いつも、ありがとうな!』


『それじゃあ、行くか』


 俺たちいつも通り自転車に乗って学校に向かった。


 学校までは自転車で約15分の距離で、燐と今日の科目はめんどいよなぁとか今日もいい天気だなぁ…と日常会話を楽しみながら通学してる。


 まぁ、楽しい時間は早く過ぎていくよな!燐との会話は俺にとって楽しみで通学の15分なんてあっという間にすぎていった。


 学校に着くとそれぞれ学年ごとにある自転車置き場に自転車を止める…それぞれ学年カラーがあり自転車にはシールを貼っている。


 1学年は青色、2学年は赤色、3学年は黄色と信号機のカラーでジャージや靴のラインにも使われている…カラーを見るだけで学年がわかるから便利だと俺は思う。


『おぉ!2人ともおはよー!』


『おはよー!』


 クラスの友人もちょうど来たところで皆で下駄箱へと向かう。


 下駄箱につくと靴を脱いで上靴にはきかえた…俺の靴箱はちょうどいい位置にあるんだが、燐の靴箱の位置は一番上でいれづらそうにしているのがとても可愛い💕本人に言うと身長をバカにしてるのかと怒られそうだから…!!毎回この光景を見るたびに俺は可愛いなぁと思っている。


『なんだよ…俺の顔を見て!』


 じっーと顔を見ていたのが、燐は気になったみたいだ。


『いや…いつも通り可愛い💕なぁと思って』


『別に可愛くないし…どうせなれカッコイイと呼ばれたいんだぁーーーー!』


 燐はそう言って、階段を駆け上がっていった…耳が赤くなっていたから、あれは照れているのだ。


『燐に置いてかれたなぁw』


 突然後ろから声をかけられ…俺を慰めるようにポンポンと肩を叩いてきた。


『なんだ…お前か』


『お前で悪かったなぁ~愛しのクラスメイトだよw』


 クラスメイトの男子はケラケラと笑いながら、階段を上がっていった。


 俺も階段を上がろうと階段の1段目に足を上げようとした時…ふと階段を降りてくる女子の会話が耳に入った。


『今日は日課変更で現文から数学になるみたいよ~!!』


『えー!まじかぁ…数学の先生苦手なんだよね』


『ほんと!それね』


『現文の先生の方がまだ24歳だしさ可愛いよね~それに、わかりやすいし!!』


『てか、24歳の若い先生と50歳のおじいちゃん先生は比べちゃいけないでしょw』


『それに、おじいちゃん先生は毎回授業後に宿題出すからマジで嫌!』


『宿題とかめんどいよね~』


 階段を降りてきた女子は同じクラスの女子で、髪の毛は茶髪…スカートは校則なんて関係ないって感じの短さで正直言って苦手なタイプだ。


『あれ~!太陽じゃん~♪』


『まじ?相変わらずイケメンじゃん!』


 そのまま通りすぎていけばいいと思っていると…まさか、話しかけてくるなんて!!朝から最悪だ。


『おはよう~♪』


『あぁ…おはよ』


 朝から面倒な奴らに絡まれたもんだ…入学して挨拶程度しか話したことないのに馴れ馴れしくよく絡んでくる。


『あっ!そういえば、さっき聞いた話なんだけど!!今日は日課変更があるんだってよ~💕』


 女子が上目遣いで言ってくる…しかも最後の語尾にはハートがついてた。


『そうなのか…ありがとう』


 とりあえず…早くここを離れようと俺はお礼だけ行って、そそくさと階段を上がった。


 後ろからは女子のキャーだのウフフなど声が聞こえたが無視だ…無視。


 太陽が階段を登った後も…女子のトークは盛り上がった。


『まじさぁ…太陽イケメンだよね?』


『朝もクールだよね…聞いた?ありがとうだって!!』


 キャーと女子2人の声が廊下に響くのであった。


『はぁ…朝から疲れたなぁ』


 朝から女子エネルギーに俺はついていけない…階段を上がろうとして止められたのはイラッとしたが、日課変更の話が聞けたのはよかったと俺は自分をほめる。


 1限の現文が数学に変更になったということは、燐が授業終わりに俺の所に来てくれるということだ!!俺はさっきの女子なんか忘れてルンルンと心が踊っている。


 なぜ、授業終わりに燐がくるのかと思うだろう?それは、数学の教師が毎回授業終わりに課題を出すからだ。


 数学の先生…ありがとう!!


 つまり、燐は数学が苦手でわからない事があると俺の所にノートを持ってくる。


『太陽…ここがわからないから教えて』


 教えてと俺の所にくる燐はとても可愛い💕ノートを抱き締めてチラチラと俺の様子を見る姿はマジで天使だ!子猫で例えるなら…壁に隠れながら飼い主の様子が気になってチラチラとするようだと俺は思う。


 そんな事を考えながら階段を上がっていく…そういえば、今日は飲み物を持ってくるのを忘れた。


 さすがに朝から飲んでいないから何か買っていこうと自動販売機でお茶を買った。


 自動販売機の下の段には燐がいつも飲んでいるイチゴミルクがある…いつもは気にならないのに燐がいつも飲んでいるからとついイチゴミルクを買ってしまった。


 買ってから俺は後悔をする…なぜなら、俺は甘いものが得意じゃない!!コーヒーはブラックだし…チョコレートを食べるときはカカオ70%のを食べているのだ。


 自動販売機の前にこのままいてもどうしようもないから、イチゴミルクは鞄にしまって教室に向かった。


 教室に入るとすぐにSH(ショートホームルーム)が始まった…学校には早めについたが、クラスメイトの女子2人に捕まったり!!自動販売機で飲み物を買いに行ったりしていたから結構時間がたってしまったようだ。


 燐は朝から眠そうだったが…さらに眠そうに目をこすっている!しかも、授業変更と提出物の話でSH(ショートホームルーム)がのびてイライラしてる様子だ。


 何とか、燐の機嫌がよくならないかと考えていると鞄が目に入った。


 そうだ、朝ついイチゴミルクを買ったから燐にあげよう!と俺は席を立ちイチゴミルクを燐にあげたのだった。


 燐は嬉しそうに飲んでる…本当に可愛いなぁと俺は眺めるのだった。






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 投稿が遅くなりすいません。作品にレビュー、エピソードに応援ありがとうございます!!私はとても嬉しいです~♪まだ、カクヨムの使い方がわからず戸惑っている部分もありますが、最後まで書けるよう頑張っていきたいと思っています。

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