第4話 獣人の燐とアップルパイ

 今日はどんな夢を見るのやら…朝からパンツを洗う事を考えると早く起きないといけなくなる。


『はぁ…』


 ため息が出てくる。


 またエッチな燐が出てくるのか?俺は我慢が出来るのだろうか…。


 そんな事を考えていても、明日は学校だからもう寝ないといけないのだ。


 燐と学校に行くのが遅れるのは嫌だから、スマホのアラームをいつもより早めに設定して俺は布団に入る。


 新しい学校生活は、疲れていないように感じていても緊張などによって体は意外と疲労を感じてるみたいだ。


 布団に入って目を閉じると夢の中へと引き込まれていった。





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『おーい、太陽!』


 目の前に燐がいる?俺は寝ていたはず??これは夢の中なのか???と俺は疑問に思った。


『おーい、太陽!!!!』


 燐は俺が返事しないから、イライラしたのか大きな声で俺を呼んだ。


『燐!ごめんね』


 頬を膨らませてプンプン怒る燐に俺はよしよしと頭を撫でるのであった。


 ふわっとした感触が手にあたる?ふわふわしてる??髪の毛ではない!!動物のふわふわ…もふもふした毛の感触だ。


 燐の頭を見ると人間の耳はなくなっていて…黒猫の耳が燐の頭についている。


 まるで今の感情を表すみたいにピコピコと耳が動いてる。


『燐の頭に猫耳がはえてる…』


 俺はあまりにも驚いて、声に出していた。


『なにいってんの??当たり前だろ俺は猫獣人なんだから!!』


 燐は当たり前のように、なぜ今頃聞くんだと尻尾を使って俺をペシペシと叩いてきた。


 あっ!尻尾もあるんだと俺はじっーと見つめる。


 スラリとしていて、先だけが白い可愛いらしい尻尾だ。


『当たり前なのか?』


 俺はポツリと言った。


『お前は犬獣人だろ!自分の耳と尻尾でも触っていろ』


 燐はそう言って…ふんっと横を向いてしまった。


 とりあえず、俺は自分の耳を触ってみる。


 本当にはえてるんだ…頭を触ると犬の耳?がついていた。


 触ると血が通っているのがわかるように温かい…好奇心に負けて引っ張ってみると痛かった。


 尻尾を見ると近所に住んでる太郎と名前がついてるゴールデンレトリバーと同じフサフサとした立派な尻尾がついていた。


 俺の感情を表すように尻尾はペシャンと元気がなく垂れ下がっている。


『おい、太陽そろそろいくぞ!!』


 さっきまでふいっと横を向いていた燐が俺の手を引っ張って森?のような所に向かって歩いていく…ちなみにさっきまでは草原?みたいな所にいた。


 どこに行くんだろうと心配になるが、燐が手を繋いでくれた事が嬉しくて俺は尻尾をブンブンとふってしまう。


 さっきまで垂れ下がっていた尻尾は燐が手を繋いでくれた事によって元気になった…なんて現金なやつなんだとおれは思う。


『なにぼけっーとしてるんだ?早くいかないと隣町のアップルパイが買えなくなるだろ!!』


 燐は早く行くぞと歩く速度を早くする。


 夢の中の燐も現実世界と同じように甘いものが好きなようだ。


 早くアップルパイが食べたいと主張する耳と尻尾がたまらなく可愛い💕ピコピコ…フリフリと動いてる。


『そうだな、急ごうな!』


 俺は頷きながら、頭をナデナデする…。


 すると、燐は俺が撫でたのが気持ちよかったようで喉をゴロゴロと鳴らす、もっと撫でろと頭を押し付けてきた。


 可愛いすぎだろ!!俺は前になんかの本で読んだ?○○の気持ちだったかな?その本に載っていた知識を実践した。


 確か耳の所を掻くように優しく撫でると気持ちいいとか?やってみると燐は気持ちいいようでゴロゴロの音が大きくなり…瞳はウルウルと潤んでいる。


 なんかいやらしい事をしている気分になった。


 かれこれ5分ぐらい撫でているとはっと燐が正気?に戻ったようだ。


『アップルパイ買えなくなる!急がないと…』


 俺はもっと撫でたいという気持ちを押し殺して隣町へと急いで歩くのであった。





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 歩く事…約15分!!ようやく森を抜けて隣町についた。


 入り口には熊獣人?厳つい顔に丸い耳がついている獣人と筋肉がスゴい爽やかイケメン?なんの獣人だろうと尻尾をチラリと見ると百獣の王ライオンの尻尾がついていた。


 獣人の本能なのか…ライオンは恐ろしいぞと尻尾を足の間に挟んでしまった。


 燐はというと?全然気にしていないようだ。


 さすが燐だと俺は感心した。


『おー、燐じゃねぇか!今日はお母さんのお使いか?それともまたアップルパイ買いにきたのか?』


 熊獣人があの厳つい顔のどこに隠してたというぐらいびっくりする…優しい笑顔で燐に話しかけきた。


『お使いじゃないし…子供扱いしないでよね!!アップルパイ…買いにきただけだもん』


 燐は耳をピコピコさせながら尻尾をピーンと怒りマークにして熊獣人にいう。


 いやいや燐よ…買いにきただけだもんってなに?可愛いすぎる💕怒ってる姿も子猫にしか俺は見えなかった。


『そうなのか…おっ!今日はイケメンの太陽も一緒なのか安心だ!』


 熊獣人が俺にも笑顔を向けてくる。


『どうも…』


 俺は一応挨拶をした。


『お前は相変わらすだなw』


 熊獣人は俺が愛想のない挨拶をしても気にしていないようだ。


『まぁ、楽しんでこい!』


 そういって俺と燐を見送ってくれた。


『うん、行ってくる』


『あぁ、行ってくる』


 燐と俺は町の中へと入っていくのだ。


 町の中に入ると燐が買いたいというアップルパイのお店に向かって歩いていく…やっぱりこの世界?夢の中は獣人がほとんどのようだ。


 頭の上には色んな動物の耳がついている…ウサギにキツネ…タヌキ?などとにかくたくさんいる。


 俺が回りをみていると…あっという間にアップルパイのお店についた。


『じゃあ、買ってくるからまってて!!!』


 俺が返事をする前に燐はお店の中へと入っていった。


『はぁ…』


 とりあえず燐を待つかとお店の近くにあったベンチに腰を下ろした。


『あら、お兄さん!1人?』


 突然知らない女性?ハムスターの耳がついている獣人に声をかけられた。


『いえ、友人を待ってるだけですから』


 めんどくさそうに俺は返答する。


『なら、少しだけでも私とお茶しない?あそこのカフェとかどうかしら?』


『いえ、結構ですから』


『そんな事を言わないでよ…冷たいわね!』


 この女めんどくさいなぁ…俺が断っているんだから諦めろよ!俺は可愛い💕可愛い💕燐を待つという大事な役目があるんだ。


 いくら断っても誘ってくる女に対して俺はだんだんとイライラしてきた…!!顔には出ていないと思うが尻尾と耳は正直な反応をしている。


『太陽~♪お待たせ!アップルパイ買えたよ』


 燐はアップルパイを買えたことが嬉しいようでスキップしながら俺の方へと向かってくる。


 俺は燐の元へと向かおうとするが、腕を捕まれた。


『お兄さんどこ行くの?私とカフェに行こうよ』


 女はまだ諦めないのか腕を引っ張ってきた…俺はさすがに我慢が出来ないと言ってしまった。


『おい、手を離せ』


 俺は冷たい目でギロリと睨む…女は怯えたようで手を話した。


 そして、燐の方へと向かう。


『アップルパイ買えてよかったな』


 優しい笑顔を燐に見せながら…頭をナデナデする。


『あの女の人はよかったの?』


 不機嫌そうに質問してくる。


『あぁ、知らない人だから心配するな』


『そっか…なら別にいいや!』


 さっきの不機嫌な声は消えた…どうやら嫉妬したのか?まさかな?燐がするわけないよなと結論づける。


『うん!太陽あのさ…』


 燐はもじもじとしながら、俺の事を見てくる!!あの上目使いにウルウルの瞳はあざとい思う。


『どうした?』


『よかったら…俺の家でさ一緒にアップルパイたべない?一緒に来てくれたお礼もしたいし嫌なら来なくていいけど…!!』


 まさか、燐の家に誘われるとは嬉しい!尻尾はブンブンと今日一番にふってると思う。


『もちろん燐の家に行くよ!!』


 返事を返すと燐の顔は嬉しそうに俺へとふにゃりとした可愛い💕笑顔を見せてくれた。


 俺たちはきた道を帰るように門の熊獣人とライオン様に挨拶をして燐の家へと向かった。





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 燐の家は最初にいた草原のような所からすぐの所にあった!!さっそく家に入らせてもらった。


 家はログハウスのようで木?で出来ていた!!中の家具も木で出来ているようでぬくもりのある家だった。


 家のなかはスリッパ?などがあるかと思っていたがここもファンタジー世界の様に土足だった。


 そんな事を考えているうちに燐がアップルパイを切って紅茶と一緒に持ってきた。


『太陽~♪お待たせ!!準備が出来たから一緒に食べよう』


 俺と燐はリビングにある4人掛けのテーブルに向かい合うようにして座り、アップルパイを食べ始める。


 部屋には紅茶のいい香りとアップルパイの上にかかっているシナモンのいい匂いが充満していた。


『美味しいね~♪』


 燐はご機嫌な様子でアップルパイを頬張っている!!頬っぺたいっぱいにアップルパイをつめこんでいる燐はリスみたいでとても可愛い💕と思う。


 燐は食べ終わるともうないなぁと耳をペシャンと尻尾はパタパタと御機嫌だったのがヘニョンと元気がなくなっていた。


 おそらくアップルパイはホールのを1つ買ってきて、4等分にしたんだろう…2つは俺と燐が食べる分で残りはお父さんとお母さんの分なんだと俺は考える。


『燐!あーん』


 ショボンとする燐があまりにも可愛そうで、俺は自分の残っていたアップルパイを燐へと差し出す…最初は驚いたみたいだが目をキラキラさせ燐は俺のアップルパイを食べた。


『う~ん!美味しい!!!』


 燐は頬っぺたを押さえて最後のアップルパイを味わってるようだ。


『太陽!ありがとう!!』


『いえいえ』


 俺は燐の笑顔が見れれば満足だ。


『そうだ!太陽そこのソファに横になってよ』


『あぁ』


 なんでソファに横になるんだ?と思いながら横になる…すると燐が俺の耳を舐めてきた!!!俺はパニックになる。


『えっ???』


『太陽にお礼だと思ってアップルパイご馳走させてあげようと思ったのに最後のアップルパイ僕が食べちゃったから…毛繕いしてあげる!』


 燐は俺の上に乗ってきて、毛繕いを始める…。


 耳にあたる燐の息に俺は反応してしまい耳をピルピルと動かす…ヤバイ!!特に下も元気になってきた。


『ちょっと燐……!』


『なぁに?気持ちいい?』


 燐の声が耳元で聞こえる…!!しかも、気持ちいいだと??もう俺のはギンギンになってしまった。


『太陽のこれ…硬いね』


 燐は俺の大切な所に指でスーッと滑らせる。


『はっ!』


 急な刺激に俺は声を出した。


『僕がここも毛繕いしてあげるね?』


 そういって俺のズボンを下ろそうとする。


『えっ?ちょっとまてーーーーー!』


 俺は叫びながら飛び起きる。


 起きるとそこは…いつも俺が過ごす部屋だった。


『はぁ…』


 今日の夢は…楽しくアップルパイを食べて終わりだと思ったのにまさか!!あんなエロイ燐が見られるとは猫耳の燐も可愛かったなぁ💕とりあえず、起きてパンツを洗おう…。


 太陽はベッドから起き上がり…パンツを洗うのため洗面所に向かった。


 そういえば、夢の中の燐は昔と同じで、僕と言ってたなぁ…最近は俺とか言ってるけどやっぱり燐は僕と言ってる方が可愛い💕と思う。

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