#7 アイルの服を買いに行こう! その1

 ある日。研究室にて。


「そういえば、アイルさん、それ、不便じゃないですか?」

 シュウはアイルの真紅の甲冑を指差した。


「ん、どういう意味だ」

「えっと……いまの日本だと甲冑着てる人いないんで、ワープせずにキャンパスの中とか歩いてると目立ちますよ」

「なるほど。でも、この前ランに借りた制服は、サイズが合わなかったしな」

「ああ、そういえばそうでしたね」


 自席に腰掛けていたランは、アイルの方を見ると、こういった。


「じゃあ、服を買おう」



 次の日。


 3人は研究室で集合することになった。


「まあ、あのコンピューターシミュレーションは明日くらいまではかかるだろうし、今日ぐらいはいいだろう」

「そうですね」

「よろしく頼む」

「ああ。そういえば、甲冑で服を買いに行くのは流石にマズいだろうな。アイル、とりあえず、これを着ようか」

「わかった。では頼む」


 シュウは慌てて研究室を飛び出した。


 なんだか、あの2人は以前よりも仲良くなっていたようだった。



「あ、シュウ。もういいぞ」


 呼ばれたシュウは研究室に戻った。


「上は私のオーバーサイズの私服で、下は良いのがなかったから、とりあえず父さんが日本に忘れていったジーンズだ」

「ああ、なんだ、別にこれでも大丈夫じゃないですか?」

「シュウ、お前、本気か……?」

「ええと……あ、そういえば、服はどこで買うんですか?」

「そうだな……まあ、新宿の伊勢丹ISETANでいいかな」

「伊勢丹ですか。あのあたりのデパートは最近営業短縮してるらしいですし、とりあえず検索して営業時間を確認しますか」

「伊勢丹? 伊勢丹とはなんだ?」

「ああ、高級デパートですよ。新宿三丁目の。あ、このマークのやつですね」

 スマホの検索結果に出てきた伊勢丹のマークを指差した。


「これか。この前に新宿で魔力源を探したとき、ちょっと見えたアレのことか」

「そうですね。でも、先生、アイルさんのこの格好だと、伊勢丹だと流石にちょっと浮かないですか?」

「まあ、そのへんは、大丈夫だろう」


 こうして3人は、伊勢丹へ向かうことになった。


「そういえば、僕、ついて行く必要あります?」

「ああ、重要任務だ。私から見たら、アイルは何を着ても似合うからな。客観的な観察を頼む」

「ええ……じゃあ、その格好でいいじゃないですか」

「シュウ、そういうとこ、あるよな……」

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