私の居場所 223
隊長のセダンが走り出しました。それを確認すると男は、スマホを取り出しました。電話として使うようです。
ここは真っ暗な闇。どこなのかまったく判別できません。と、突然ルルルルルという振動音。同時にスマホの明かりが
「もしもし・・・」
わずかなスマホの明かりに現れた顔は、啓一のものでした。
再びファミレス前。スマホを電話として使ってる男。
「やつら、出ましたよ、ファミレスを!」
暗闇の中。啓一はスマホに応えます。
「ふ、わかった!」
再びファミレス前。男がスマホをタッチして電話を切ると、それをポケットに仕舞いこみました。男はご満悦。
「あとは任せましたよ、坊ちゃん」
そのまま歩き出しますが・・・
「あ、ちょっと待ってくれませんか!?」
その声ではっとして立ち止まりました。そのまま振り返り、
「誰だ!?」
するとそこには2人の男性が。2人はそれぞれ男に警察手帳(警察バッチ)を見せつけました。この2人は刑事のようです。
「私たちはこういうものです!」
「ちょっと訊きたいことがあるのですが、いいですか?」
それを聞いて男の顔色は、あっという間に変化。
「や、やべーっ・・・」
と心の中でつぶやくと、急速に振り返り、一目散に逃げ出しました。
「おーい、待てーっ!」
2人の刑事は男を追い駆け始めました。
男の行く先に交差点が見えてきました。歩行者用の信号は赤。けど、男は、
「くっ・・・」
一か八か歩道に進入します。が、強烈なヘッドライトがその横顔を照らしました。右方向から軽トラックがやってきたのです。男は思わず悲鳴をあげました。
「うぎゃーっ!」
トラックの運転手もびっくり。
「うわーっ!」
トラックは急ブレーキ。けど、間に合いません。バーン! 男はトラックにはね飛ばされました。
男の身体は交差点の中心付近まで飛ばされました。それでも意識はあるようです。
「くそーっ!」
と、男は気づきました。自分に向けられたたくさんのヘッドライトを。
「は、跳ねられるーっ! うぎゃーっ!」
男は慌てて立ち上がろうとしますが、トラックにはね飛ばされた衝撃で腰を抜かしたのか、なかなか立ち上がれません。
「うわわわ・・・」
その男の前、ヘッドライトの光とは正反対の方向に2人分の脚が立ちました。
「へっ?」
男が顔を上げると、それは先ほどの2人の刑事でした。2人の刑事は呆れたって顔を見せ、
「ご同行を」
2人の刑事は男を挟み込むように立ち、その両腕を持ち、男の身体を立たせました。
ちなみに、男が見た複数のヘッドライトですが、赤信号待ちのクルマのヘッドライトでした。当然停車してました。
さて、さきぼどの暗闇の中ですが、啓一はスマホの電話を切るとあたりは再び真っ暗闇に包まれました。と、啓一ではない声が。
「坊ちゃん、いったい何をする気なんですか?」
それはモヒカンの男の声でした。啓一は応えます。
「
今度は別の人の声が。
「
それはリーゼントの男の声でした。啓一はその質問にも応えます。
「実は2軒とも空き家なんだよ」
モヒカンの男とリーゼントの男は感心。
「へ~」
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