私の居場所 222

 自分の家の門扉の向こうで待っていた真土灯里はうれしそう。門扉を開け、セダンに駆け寄りました。そのまま後部座席のドアを開け、乗車。セダンが発車しました。

 そしてセダンはレコーディングスタジオがあるビルに到着しました。


 レコーディングスタジオでは日向隊員は夢・・・ いや、1巡目とまったく同じ行動を行いました。

 代官さんがデビューアルバムのために用意した曲の練習&アレンジ。それが終わると、近くにあったファミレスで昼食。

 1巡目では作曲に悩んでた日向隊員ですが、今回も昼食を中座してレコーディングスタジオに戻ります。すると真土灯里と明石悠も、ちょっと遅れてレコーディングスタジオに戻ってきました。

 日向隊員がピアノでパッヘルベルのカノンを弾くと、真土灯里がそれに触発され、ギターでカノンロックを奏でます。

 そこに他の真夜中のノックのメンバー、それに高浜さんと諏訪さんもやってきて、カノンロックのレコーディング。これらもすべて1巡目と同じでした。日向隊員は全員の行動が完全に1巡目と同じなもので、思わず苦笑い。

 そしていよいよ時計は午後7時となりました。日向隊員と真土灯里と明石悠は中学生てことで先に帰ることになりました。


 3人はレコーディングスタジオのあるビルのエントランスを出ました。さっそく真土灯里の眼は、そこに佇んでいた男性を捉えました。

「あ、香川さん?」

 そう、それは香川隊長でした。明石悠は隊長に向かって質問。

「あれ、クルマは?」

 隊長は振り返り、すぐ側にあるファミレスの建物を見て、

「ファミレスの駐車場にめたよ。今日は疲れたろ、みんな? オレがおごるからあのファミレスに行こ!」

 真土灯里はちょっと恥ずかしそうに質問。

「ええ、いいんですか?」

「ああ、いいよ」

 日向隊員。

「じゃ、みんな、行こ!」

 真土灯里と明石悠が同時に応えます。

「うん!」

 4人は1つになって歩き始めました。するとその背後、この4人を尾行する人影が現れました。そう、いつもはサングラスをかけ、年代物のアメリカのクルマを駆ってる男です。

 1巡目では日向隊員も隊長もこの男の尾行に気づきませんでしたが、今は当然気づいてます。どうやら隊長と日向隊員は、この男を泳がす気のようです。

 4人は近くのファミレスに入りました。


 ファミレス店舗内で4人は夕食。日向隊員、真土灯里、明石悠の3人は談笑。日向隊員はおしゃべりに夢中になり過ぎて、尾行してきた男の存在を完全に忘れてしまったようです。

 もちろん隊長は覚えてました。男はレジの近くのボックス席でコーヒーを飲んでました。これも1巡目と同じ。

 いよいよ食事終了。4人はレジへと歩きます。4人が男が座るボックス席の横を通り過ぎました。すると男は立ち上がり、4人を尾行し始めました。


 ファミレス外観。隊長たち4人がエントランスから出てきました。そのまま眼下の駐車場に向かいます。

 隊長は横目で後ろを歩く男を見ました。そしてニヤッと笑いました。

「ふふ、ついてきてる、ついてきてる・・・」

 隊長は1台のセダンの運転席のドアを開けました。今回もいつもと違うセダンです。もちろん日向隊員が1巡目で見たセダンと同じものでした。日向隊員たち3人も、セダンのドアを開け乗り込みました。

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