私の居場所 209
寒川隊員は日向隊員の肩をぽーんと叩いて、
「ふ、頼んだぞ、日向!」
「はい!」
寒川隊員は一目散に部屋を出ました。そしてこの部屋内を見ることができる部屋に入り、ガラス越しに日向隊員を見ました。寒川隊員は備え付けのマイクを握り、
「行くぞ!」
「はい!」
日向隊員がいる部屋が光で満たされました。
ストーク号の腹から鉛直方向に淡い光が照射されました。ストーク号は透明、そのせいか何もないところからいきなり光が発生したように見えます。それを見て巨人ははっとします。
光の中から1つの人影が現れ、飛び出してきました。メガヒューマノイドです。巨人はそれを見てびっくり、一瞬スピードを緩めましたが、再び駆け出しました。メガヒューマノイドはその顔の横で同じスピードで飛び始めました。
「明石さん!」
それは巨人には耳慣れた声でした。
「え?・・・」
巨人は駆けながら横眼でメガヒューマノイドに眼をやりました。その顔を見てびっくり。
「ひ、日向さん? 日向さんなの!?」
「驚いた? これがほんとうの私」
「ふ、私のほんとうの姿はこれ。私は宇宙人」
ストーク号のコックピットの中の隊長と女神隊員は、この会話を聞いてます。
再び夜空を飛ぶ日向隊員が質問。
「あなた、女神さんと一緒にやってきた宇宙人なの?」
「そう」
「女神さんの娘?」
「違う。あの人は私にいろんなこと教えてくれた。いつしか私は、彼女をママて言うようになってた」
日向隊員はちょっと考え、再び質問。
「どこに行く気?」
「あいつ、ぶっ殺す!」
「あいつって?・・・ 老松啓一を?」
巨人は応えません。日向隊員は再び質問。
「知ってんの、
巨人は今度は応えます。
「警察署でしょ!」
「警察署て街の近くにあるんでしょ? あなたが行ったら街は大混乱よ! 建物がたくさんあるし、レコーディングスタジオだってある! 真夜中のノックのみんなが演奏してんかもしんないよ!?」
確かにその通り。千石さん、代官さん、久領さんの3人はいまだレコーディングスタジオで演奏中でした。ミキシングルームにいる高浜さん、諏訪さんを含め、まだ真土灯里斬殺のニュースは届いてないようです。
日向隊員の訴えが続いてます。
「あなたが行ったら、みんな、あなたに押しつぶされて死んじゃうかも!?」
巨人は再び反応しませんでした。
ストーク号のコックピットでは倉見隊員が計器類を見て何かに気づきました。
「隊長、2つの飛翔体が来ます!」
「ヘリか、マスコミの?」
「いいえ、これは・・・ 空自のF2戦闘機です!」
「ち、まためんどくさいときにめんどくさいやつが来たなあ・・・」
隊長はスマホを無線機代わりに使います。
「日向、空自のF2が来る! 離脱しろ!」
日向隊員はびっくり。
「ええ!? なんで?」
「F2はミサイルを撃ってくるかもしれないぞ、無警告で。お前、巻き込まれたくないだろ!?」
日向隊員は少し考え、そして巨人に呼びかけました。
「明石さん、F2戦闘機が来るよ。このままじゃ明石さんは、ミサイルで木端微塵にされちゃうよ!」
巨人は悔しそう。
「なんで・・・ なんでみんな、私の邪魔をすんの!」
巨人は咆哮をあげました。
「うおーっ!」
次の瞬間巨人の身体がふわっと浮きました。日向隊員はびっくり。
「ええ~!?」
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