私の居場所 208

 ストーク号が街道を駆ける巨人に追いつきました。橋本隊員。

「巨人に追いつきました」

 倉見隊員は巨人の華奢な身体、長い髪に注目しました。

「おいおい、女の子なのか、あの巨人?」

 隊長は質問。

「あのの顔の前に廻り込めるか? あのの顔を見たいんだ!」

 橋本隊員は応えます。

「やってみます!」

 ストーク号が巨人を追い越し、機体を180度回転させ、巨人の顔の前に。そのままバックしながら飛びます。通常の航空機なら不可能な飛行ですが、反重力エンジンを積んでるストーク号なら可能な飛行です。

 ストーク号のウインドシールド(フロントガラス)いっぱいに巨人の顔が映し出されました。操縦席の橋本隊員と副操縦席の倉見隊員は口をあんぐり。

「な、なんだ、この顔!?」

 隊長は女神隊員を見て、

「見ての通り、同じレイアウトだな、君の顔と」

 女神隊員は顔色を変えずにつぶやきます。

「やっぱり・・・」

 隊長はそれに反応しました。

「心当たりがあるようだな?」

「はい。前にも話した通り、私の星では数百万人に1人、超常的な力を発揮する子どもが生まれます」

「男の子だったら神、女の子だったら女神だったな?」

「はい。母星を脱出するとき、1つの宇宙船ふねにかならず1人将来神か女神になりそうな子を乗せることになりました。私が操縦する宇宙船ふねに乗せられた子は、肌の黒い女の子でした」

 この瞬間隊長はすべてを理解しました。あの日女神隊員は、山腹に激突し爆発した宇宙船から無意識にテレポーテーションし、巨大化しました。しかし、彼女以外の乗員は、宇宙船とともに死んでしまいました。

 が、女神隊員同様宇宙船からテレポーテーションを使って脱出した乗員がもう1人いたのです。それが明石悠でした。

 女神隊員は言葉を続けます。

「けど、私、あのにそんなにすごい能力があるとは思いませんでした」

「無意識でテレポーテーションしたうえに、巨大化もしたんだ。かなりの能力じゃないのか? ほんとうにわからなかったのか?」

 と、隊長のスマホがなりました。無線のようです。隊長はスマホに出ました。


 ストーク号内の長い通路。メガヒューマノイドに変身した日向隊員が通路を駆けてます。その後方を寒川隊員が駆けてます。寒川隊員は無線機代わりのスマホに出てます。

「隊長、用意ができました!」

 コックピットの隊長。

「わかった。じゃ、すぐ出してやってくれ、日向を! 早くしないとマスコミのヘリが来ちまう!」

 廊下を駆ける寒川隊員。

「了解!」

 寒川隊員はスマホを仕舞いながら、前を駆ける日向隊員を見て、はっとします。

「あ、日向、ちょっと待て!」

 日向隊員は急ブレーキ。

「えっ!?」

「そこを右に曲がるんだ」

 日向隊員が立ち止まった箇所は、廊下の丁字路。右側の通路を見て、頭に?を浮かべました。

「こっちにあんのは、光の昇降機じゃ?・・・」

 寒川隊員は日向隊員に追いつき、

「光の昇降機で出られるようになったんだよ!」

「へ~・・・ わかりました!」

 日向隊員と寒川隊員は並んで走り始めました。


 光の昇降機の部屋。ドアが開き、日向隊員と寒川隊員が入ってきました。寒川隊員。

「いいか、日向。昇降機の光は150mまでしか出ない。それを過ぎたら自由落下だ」

「大丈夫ですよ。エアジェットですぐに飛びますから!」

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