私の居場所 207

 日向隊員は立ち上がり、走り去っていく巨人を見ました。

「あ、あれは明石さんなの?・・・」

 隊長は立ち上がると、思い出しました。初めて女神隊員と遭遇したときのことを。あの日、巨大な宇宙船が山腹に激突。大爆発。搭乗員死亡と思われましたが、ちょっと離れたところに巨大な人影が現れました。それが女神隊員だったのです。

女神あいつ、あのとき、爆発した宇宙船からほんのちょっと離れた場所から現れたな? 今の巨人が明石悠だとしたら?・・・

 明石悠も姿を消した直後、ほんの少し離れた場所から現れた、巨人になって? 明石悠は宇宙人? 女神隊員と同じ星出身の宇宙人なのか?」

 と、隊長が握ってるスマホが鳴りました。無線です。

「隊長、来ました! 今隊長の真上です!」

 が、ストーク号の機影はありません。どうやら認識ステルス機能で機体を隠してるようです。隊長は、

「ふ、もう来たのか?」

 とつぶやき、そしてスマホに声を発しました。

「よーし、光の昇降機でリフトアップしてくれ!」

 すると上空から光が降り注ぎ、それを浴びた隊長と日向隊員の身体が浮上し始めました。


 ストーク号コックピット。後部の自動ドアが開き、隊長と日向隊員が入ってきました。ちなみに、隊長も日向隊員も私服でストーク号に乗るの、これが初めてです。

 操縦席には橋本隊員、副操縦席には倉見隊員、後部の席には寒川隊員と女神隊員が座ってます。なお、女神隊員はヘルメットを被り、フルフェイスのシールドで顔を隠してます。

 4人は振り返り、隊長を見て、

「隊長!」

 橋本隊員。

「通報されると面倒なことになるから、一応認識ステルス機能をオンにして来ましたよ」

 隊長は応えます。

「ふ、ナイスアイデアだ!」

 隊長は今度は日向隊員に、

「お前はメガヒューマノイドに変身して、巨人のあとを追うんだ!」

「はい!」

 寒川隊員が立ち上がり、日向隊員に、

「前回変身したときと機外に出る方法が変わった。オレが案内するよ!」

「わかりました!」

 2人は自動ドアを開け、コックピットを出て行きました。橋本隊員。

「どうします? 巨人を追い駆けますか?」

「おいおい、巨人が出たって?・・・ もう知ってんのか、巨人のこと?」

「ふ、隊長の口から今巨人て言葉が出たじゃないですか?」

 倉見隊員。

「それに、臨時ニュースで流れてますよ、もう」

 隊長はそれを聞いてびっくり。

「ふ、早いなあ、日本のマスコミは?」

 隊長は横目で後ろに座ってる女神隊員を見ました。

「とりあえず巨人あいつと女神を逢わせてみんか?」

 そして橋本隊員に命令。

「このまま街道に沿って飛んでくれ!」

 橋本隊員はスロットルレバーを入れ、

「了解!」

 透明なストーク号は移動を開始しました。

 コックピットにいる隊長は、寒川隊員が座ってた座席に座りました。で、横に座ってる女神隊員に質問。

「君には子どもがいたんだろ、2人?」

「はい」

「上の子は女の子か?」

「はい、2人とも女の子です」

「上の子は身長が高いのか?」

「上の子は地球のこよみに換算すると10歳でした。10歳にしては、まあ背が高い方だったと思います」

「10歳?・・・」

 隊長は思いました。

「10歳じゃ、背が高いと言ってもたかが知れてんな? てことは、あの、女神隊員の子じゃないのか? じゃあ?・・・」

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