私の居場所 203

 啓一は日向隊員が見えてない? 実は啓一は日向隊員(と明石悠)の顔を見るとひどい頭痛に襲われるよう、催眠術をかけられてました。

 そこで啓一は濃いサングラスをかけてました。これによって啓一は、日向隊員の身体の輪郭は見えてるけど、顔は見えてないのです。

 啓一はまっすぐ日向隊員を見て、

「おら、日向愛! これがオレたちをコケにしてきた罰だ!」

 啓一の背後にいたモヒカンの男。

「さすがぼっちゃん、かっこいー!」

 その隣りにいたリーゼントの男。

「いよ、男前!」

 なお、この2人も啓一と同じ催眠術がかかってます。日向隊員を直視しないよう、濃いサングラスを掛けてました。

 日向隊員は返す言葉がありません。ただ顔面蒼白状態。

「ああ・・・」

 2人の警官に化けた刑事が啓一に駆け寄りました。刑事の1人は啓一の右手の日本刀に注目し、

「ちっ!?・・・」

 そして拳銃を構えました。

「おい、その凶器を離せ!」

 啓一は自分が握ってる日本刀を見て、

「ふ、これか?」

 そのまま日本刀を門扉の外に投げました。

「ほらよ!」

 アスファルトに日本刀が転がりました。もう1人の刑事は手錠を取り出し、

「老松啓一だな!? 逮捕だ!」

 すると啓一はにやっと笑い、

「おいおい、オレはまだ13歳だぜ。13歳は逮捕できないんだろ? いいのか、手錠かけて?」

「13歳でも手錠は可能だ。さあ、両手を出せ!」

「ちっ!・・・」

 と言うと、啓一は左手に持ってた真土灯里の首を投げ捨てました。アスファルトに転がる真土灯里の首。それを見て日向隊員は唖然。

 首はゴロゴロと転がり、ちょうど日向隊員に顔が向いたところで止まりました。見開いた眼の真土灯里の首。日向隊員は愕然。

「なんで、なんでこんなことに?・・・」

 手錠を掛けられ警察に連行されていく啓一。モヒカンの男とリーゼントの男も連行されていきます。啓一は何も悪びれる様子はありません。逆に胸を張って堂々と連行されていきます。

 と、啓一は日向隊員の方を見ました。

「けっ、ざまあみろ!」

 それを聞いて日向隊員の怒りのボルテージは一気に頂点へ。

「このーっ!」

 日向隊員は右こぶしを握りしめ、啓一の身体に向かいました。が、隊長が背後から日向隊員に抱き付きました。

「やめろっ、日向ーっ!」

 2人はうつ伏せに重ね餅になって倒れます。が、日向隊員はメガヒューマノイド。隊長1人で押さえつけることは不可能でした。

 日向隊員は連行される啓一をにらんで立ち上がろうとします。

「あいつ、行っちゃうよーっ! ぐぉーっ!」

 隊長はその日向隊員を必死に押さえこみ、

「日向、やめろ!」

「嫌だ! あいつ、ぶっ殺す!」

「オレたちを撮影してるやつがいるんだよ!」

「え!?」

 日向隊員は自分たちを撮影してる若者に気づきました。隊長。

「メガヒューマノイドだってバレたら一大事だろ、お前!?」

 それを聞いて日向隊員は身体中の力を抜きました。

「くーっ・・・」

 隊長は今度は啓一たちを連行する警官を見て、

「あいつら、一見すると制服警官だが、前にも話したとおり、正体は公安7課の刑事だ。公安7課ならきっと最良の対策をしてくれるはずだ!」

 パトカーが2台やってきました。ただ、サイレンもパトロールランプの点灯もありません。隊長の想像通り、公安7課は啓一たち3人を密かに処分するつもりでいるようです。

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