私の居場所 184

 日向隊員の居場所を作ってくれたのはテレストリアルガード。日向隊員はテレストリアルガード、特に隊長には感謝しきれません。

 日向隊員はふと横目で隊長のセダンを見ました。が、当のセダンはすでに走り去ってました。日向隊員は思わず苦笑い。

「ふっ・・・」


 日向隊員が自分のクラスに入ると、この日もみんなから歌うように要請されました。日向隊員は苦笑。アコースティックギターを渡され、仕方なく、けど元気よく歌いました。

 そしていつものように授業を受け、帰りはもう歌わされないようにと速攻で退室。校門前で待ってた隊長のクルマに真土灯里、明石悠とともに乗り込みました。


 3人は隊長のセダンの中で談笑。なお、明石悠は助手席に、真土灯里は後部座席に座ってます。いつもの席順に戻ってました。

 そうこうしてるうちに、セダンはいつものレコーディングスタジオがあるビルに到着しました。日向隊員、真土灯里、明石悠がセダンを降りました。3人はビルの中に入っていきました。


 ミキシングルームのぶ厚いドアが開き、日向隊員たち3人が入ってきました。

「お邪魔しまーす!」

 ミキシングルームには高浜さんと諏訪さんがいました。高浜さん。

「ふふ、待ってたよ。曲はできたかな?」

 日向隊員は申し訳なさそうに、

「ごめんなさい。まだ、ちょっと・・・」

「あは、そっか? ま、まだ時間は十分あるさ」

 高浜さんは今度は明石悠に、

「君は?」

「あ・・・ 私、作詞作曲なんかしたことないから、誰か他の人の曲をカバーしようと思います。すみません・・・」

「おいおい、別に謝ることじゃないだろ? で、どの曲にするんだ?」

「あいみょんのマリーゴールド」

 それを聞いて日向隊員はびっくり。

「ええ~!?・・・」

 そう、あいみょんのマリーゴールドは日向隊員と明石悠が初めて共同で歌った曲なのです。

 高浜さん。

「そっかあ。その曲、たしかあいみょん自身が作詞作曲した曲だっな?・・・ 彼女に許可を取らないといけないな」

 それを聞いて今度は明石悠がびっくり。

「え?」

 高浜さんが応えます。

「他の人の曲をカバーするときは、作詞した人と作曲した人の許可が必要なんだよ」

「へ~ そうなんだぁ・・・」

「ま、拒否された話なんて聞いたことないから、ちゃんとあいさつすれば問題なくカバーできるんじゃないかな?」

 今度は日向隊員が明石悠に質問。

「その曲がいいの?」

「うん。あの曲がなかったら、私ここにいないと思う」

 日向隊員は自身がアコースティックギターを弾き、それに合わせ歌を歌う明石悠を思い浮かべました。場所は2人が初めてストリートライヴをやった中学校の校門前のようです。

「ふふ、そうだよなあ。あの曲がなかったら私たち、こんなところに存在してなかったかもんな・・・」

 高浜さんは今度は真土灯里に質問。

「灯里ちゃんは?」

「あは、作ってきました!」

 と言うと、真土灯里は部屋の隅に置いてあったアコースティックギターを握りました。

「ちょっと歌ってみますね!」

 すると高浜さんは、てのひらを伸ばし、真土灯里の動きを止めました。

「あ~ ちょっと待って!」

 高浜さんは連絡用のマイクを握り、

「みんな、灯里ちゃんが曲を作ってきたぞ。こっちにこいよ!」

 するとスタジオ側のドアが開き、千石さんが現れました。

「へ~ 灯里ちゃんが曲を?」

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