私の居場所 181

 そう、このドローンはスマホの電波を使って操縦されてました。

 黒部すみれはコンソールの十字キーを上に。すると透明なドローンはさらに高いところに舞い上がりました。

 モニターにこの小山の全貌が映りました。小山の幅は狭く、その向こうはやはり田んぼ、畑だらけの平らな土地。その中にこの道路の続きと思われる1本の道が伸びてました。どうやらこのトンネルの長さは、300mくらいのようです。

 黒部すみれは決断しました。

「トンネルの出口に先回りしましょ!」

 透明なドローンはそのまま小山を越えて行きました。


 アメリカ製のクルマはトンネルの中へ。ヘッドライトが点灯します。と、前方からもヘッドライトの光が。トンネル内に1台のセダンが停車しており、たった今ヘッドライトを点灯させたのです。

 セダンのヘッドライトがパッシング。ハンドルを握るサングラスの男はそれを確認し、

「ふ、手はず通りだな!」

 セダンの横にアメリカ製のクルマが急停車。アメリカ製のクルマのドアが開き、啓一、モヒカンの男、リーゼントの男が飛び降りました。

「急げ!」

 セダンのドアも開き、こちらからも3人が飛び降りました。なんとこの3人、啓一、モヒカンの男、リーゼントの男と瓜二つな格好をしてます。3人と3人はそれぞれもう一方のクルマへと駆け出しました。

 啓一と啓一にそっくりな男がすれ違う瞬間、啓一が、

「頼んだぞ!」

 と声をかけます。相手もすかさず返事。

「ええ、任せてください!」

 啓一、モヒカンの男、リーゼントの男がセダンに乗り込みます。バタン! ドアが閉まり、セダン、急発進。アメリカ製のクルマも急発進しました。


 トンネルの出口のすぐ上に控えてる透明なドローン。

 暗闇の部屋、モニターを見てるサングラスの男性は気になってます。

「まだ出てこないのか?・・・」

 黒部すみれも疑念を持ったようです。手元のコンソールの十字キーを下へ。するとドローンも下へ。トンネルの出口から内部を撮影します。するとすぐにヘッドライトのまばゆい光を捉えました。

「おっと!」

 黒部すみれは慌ててコンソールの十字キーを上へ。するとドローンは急上昇。その直後アメリカ製のクルマがトンネルから出てきました。見た目、啓一とモヒカンの男とリーゼントの男が乗車してます。

 モニターでそれを確認したサングラスの男。

「あは、気のせいだったみたいですね・・・」

 一方黒部すみれは、またもや疑念を持ったようです。


 一方こちらはトンネルの反対側の出口。先ほどのセダンが出てきました。助手席には啓一、後部座席にはモヒカンの男とリーゼントの男が座ってます。

 啓一はにやけてます。

「ふ、これでもう追ってこないだろ!」


 それから数時間後。夜の路上。ヘッドライトを輝かせ、1台のセダンが走ってきました。隊長のセダンです。

 セダンが真土灯里の家の前で停車。すると20mほど先の物陰から3つの頭が現れました。街灯の光が当たると、それは啓一とモヒカンの男とリーゼントの男でした。

 3人の視線の先、隊長のセダンから降りる真土灯里。リーゼントの男がつぶやきます。

「おいおい、今日もクルマで帰宅かよ?・・・」

 モヒカンの男もつぶやきます。

「あいつ、お姫様かよ? 毎日毎日家まで送り迎えしてもらうなんて・・・」

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