私の居場所 129

「さーて、これで問題はすべてクリアしたようだな!」

 と言うと高浜さんは振り返り、

「みんな、入って来いよ!」

 すると、

「おーっ!」

 の声とともに、スタジオ側のドアが開き、そこから3つの人影が現れました。千石さんと代官さんと久領さんです。それを見て真土灯里は歓喜の声をあげました。

「あは、3人とも来てたんだ」

 高浜さん。

「30分前ここに到着してたんだよ、3人とも」

 千石さんは真土灯里を見て、

「灯里ちゃん、昨日もオンラインで逢ったけど、直接逢うのは久しぶりだね。10年ぶりかな?」

 真土灯里は顔を赤くし、

「あは・・・」

 代官さんと久領さんは日向隊員と明石悠にあいさつ。

「よろしく!」

 すると日向隊員は手を差し出しました。

「よろしくお願いします!」

 代官さんと久領さんは日向隊員がなぜ手を差し出したのか一瞬わかりませんでしたが、すぐに握手を求めてると理解しました。で、まず、代官さんが日向隊員と握手。

「よろしく!」

 次に久領さんが日向隊員と握手。

「よろしく!」

 明石悠もそれを見て手を差し出しました。

「あは、よろしくお願いします!」

 すると代官さんが明石悠と握手。

「よろしく!」

 久領さんも明石悠と握手。

「よろしくね!」

 高浜さん。

「どうだ、みんな。一堂に会したところで、久しぶりにあの曲を演奏ってみないか?」

 真土灯里はピーンときました。

「それって、I Was Born To Love You?」

「ああ、真夜中のノックのテーマ曲だ!」

 高浜さんは千石さんたち3人に、

「おまえら、まさか忘れたってことはないだろうなあ?」

 すると千石さんは、

「あは、まさかあ!」

 代官さん。

「忘れちゃいないよ!」

 久領さん。

「オレたちだっていつもライヴで演奏ってるんだ、この曲は!」

 高浜さん。

「ふふ、よーし!」

 高浜さんは今度は明石悠を見て、

「君、この曲、歌える?」

「もちろん! いつもストリートライヴで歌ってるから!」

「OK!」

 高浜さんは今度は日向隊員が背負ってるギターのソフトケースを見て、

「せっかくギター持ってきたみたいだけど、今日は灯里ちゃんと千石がいるからギターは間に合ってるんだ。悪いけど、ピアノ弾いてくれないか?」

 日向隊員は苦笑いして応えます。

「あは、いいですよ」

 日向隊員はほんとうはここで思いっきりギターを弾きたかったのですが、これはしょうがありませんね。

 高浜さんは横目でスタジオを見て、

「じゃ、みんな、中に入ろうぜ!」


 スタジオの中、ドアが開き、一同が入ってきました。

 明石悠はあたりを見渡し、感嘆な声をあげました。

「あは、これがレコーディングスタジオかあ!・・・」

 それ以外のメンバーは楽器を手にしました。日向隊員は電子ピアノに向かいました。そして人差し指で鍵盤にタッチ。すると音が出ました。そのまま軽くドレミファソラシドと弾きます。

「うん、チューニングは合ってる」

 そこに声が。

「日向さん!」

 日向隊員ははっとしてその声の方向を見ました。そこには千石さんが。千石さんはエレキギターを持ってます。

「君、幼いときからピアノ習ってたんだって?」

「はい」

「ふ、そっかあ。自分はバイオリンを習ってたんだ、君と同じ幼いときから」

「あは、そうなんですか?」

 千石さんは右手を差し出しました。

「君とはうまくやれそうだな!」

 日向隊員はその手に握手します。

「はい!」

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