私の居場所 61

 モヒカンの男とリーゼントの男は首を捻るばかり。

「そ、そんなことがあったのか?・・・」

 サングラスの男。

「ほんとうに覚えてないんですか?」

 モヒカンの男とリーゼントの男は、まだ首を捻ってます。

「悪い、ほんとうに記憶にないんだ・・・」

 サングラスの男はまたもや唖然。が、何か思いついたようです。

「そういや、昔見た映画にこんなのがありましたねぇ・・・

 その映画じゃ、先っちょが光るペンみたいな機械が出て来て、その光を見ると今見たすべてのものが記憶から消えてしまう・・・ そんな光を見たんじゃないですか?」

 モヒカンの男は笑います。

「あは、まさかあ!」

 が、リーゼントの男は真面目な顔で、

「いやあ、オレもそれを考えた」

 その反応を見て、モヒカンの男はぴっくり。

「ええ?・・・」

 サングラスの男。

「その2人の女に逢ってみりゃ、すべての記憶を取り戻すことができるんじゃないですか?」

 モヒカンの男。

「しかしなあ、どこに行けば逢うことができるんだ、その2人? 皆目見当がつかないぞ?・・・」

 サングラスの男。

「いや~ それならわかってますよ。あの2人、明日、いや、今日か・・・ 中学校の校門の前でストリートライヴをやるんですよ、また」

 モヒカンの男。

「また?」

「あの2人、昨日ストリートライヴをやったんですよ。あの2人が通ってる中学校の校門の前で。ネットのニュースで流れてましたよ。

 ネットによると、道路使用許可が下りてるみたいですよ。今日もライヴやること、確実ですよ」

 モヒカンの男はリーゼントの男を見て、

「行ってみるか」

「ああ」


 住宅街の中の街道。その歩道を2人の男が歩いてます。モヒカンの男とリーゼントの男です。陽はかなり高いところにあります。

 2人は眼の前にあるX字型の歩道橋を見ました。そして顔を見合わせました。

「あの上に上れば日向愛と明石悠が見れるのか?」

 2人は歩道橋を上りました。


 2人は歩道橋の橋の部分にきました。下にはたくさんの人だかりができてます。

 テレビ局のカメラクルー。その他ムービーカメラやスマホを構えた人がたくさんいます。皆同じ方向にカメラを向けてました。

 そのカメラの先には・・・ ギターを弾いてる少女と歌を歌ってる少女がいます。モヒカンの男は横にいるリーゼントの男を見て、

「あそこにいる2人が日向愛と明石悠なのか?」

「う~ん?・・・」

 と、モヒカンの男は別の方向を見て何かを発見しました。

「ん、あいつ?・・・」

「どうした?」

 モヒカンの男はその方向を指差しました。

「あいつだよ、あいつ!」

 そこにはバイクに跨ったままの長身の女性がいました。道路の反対側にあるコインパーキングの前の歩道です。彼女の身体は群衆=2人の少女の方に向いてます。

 この女性、実は女神隊員です。着てるライダースーツは、昨日とまったく同じもの。バイクも同じです。

 モヒカンの男。

「あいつ、見覚えがあるぞ?・・・」

 リーゼントの男はふっと思い出しました。この歩道橋の上でバイクをウィリーにして襲って来る女神隊員を。

「ああ、思い出した! オレたち、襲われてんよ、ここで、あいつに、昨日!」

「ええ、じゃ、オレたち、昨日ここに来た!?」

「ま、まあ、そういうことになるのかなあ?・・・」

「なんでオレたち、そんなことまで忘れちまってるんだ?・・・」

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