私の居場所 55

 この偵察用ドローン、反重力エンジンを使ってるので、まったくの無音で飛ばすことができますが、公安7課はそれをさらに進化させたようです。

 メガヒューマノイドとしても、超能力者としても、常人離れしたセンサー能力を持ってる日向隊員ですが、まったく気づきませんでした。ま、日向隊員はずーっと人が見張ってるものだと思ってました。これでは気づくのは100%むりですね。

 3人が街道に出ました。そこにはセダンが1台駐車してありました。テレストリアルガードのカラーリングが施されたセダンです。

 セダンは3人を乗せると走り出しました。


 さて、啓一たち3人組ですが、ちょっと時間を巻き戻しましょうか。

 3人は狭いこみちを駆けてます。啓一の口から愚痴が飛び出しました。

「くそーっ! なんなんだよ、あの女!?」

 リーゼントの男が応えます。

「妖怪かも?・・・」

 モヒカンの男は反論します。

「バカ言うなよ! 今は21世紀だぞ! そんなもの、あるかよ!」

 が、その瞬間、啓一の脳裏にある光景が浮かび上がりました。日向隊員が啓一たち悪ガキ4人組を瞬殺してしまったシーンです。

「そっかあ。あいつ、妖怪だったからオレたち4人を瞬殺することができたんだ?・・・」

 4人の眼の前に車止めの杭が見えてきました。このこみちの反対側の入り口に設置されていた車止めと同じものです。その背後には大型のワンボックス車が駐車してあります。なお、このこみちは、この車止めから幅4mに拡がってました。

 啓一はワンボックス車を見て、

「誰だよ、こんなところにクルマめたやつは! 邪魔じゃねーか!」

 そのときです。3人はひどい衝撃を受けました。

「うっ!?・・・」

 3人はそのままバタッと卒倒しました。どうやら気を失ったようです。

 3人の背後、地面から数mのところに人型の影が現れました。アナログテレビの使われていないチャンネルの砂嵐ノイズのような影です。

 それが1秒もしないうちに鮮明な人間となりました。地面から数m高いところに浮いたまま、人間となったのです。

 人間は20歳くらいの女性。黒いジャケット。黒いサングラスをかけています。手にはテレストリアルガードが使ってるレーザーガンと同じ銃器が握られてます。

 と、木陰から3人の屈強な男が飛び出しました。3人とも女性と同じサングラスをかけてます。3人はそれぞれ啓一たち3人の脇の下に両腕を差し込み、その身体を引きずり始めました。

 3人はそのままワンバックス車へ。いつの間にかワンボックス車の観音開きのデュアルバックドアが開いてました。


 ここはこのワンボックス車の助手席。今ドアが開き、サングラスの女が滑り込みました。運転席に座ってた男がその女を横目で見て、

「お疲れさん!」

 なお、この男もサングラスをかけてます。


 ワンボックス車のデュアルバックドアがバタンと閉まりました。と同時にワンボックス車が発進。

 再び運転席。ハンドルを握ってる男が助手席の女を見て、

「しかし、珍しいですねぇ。あなたが自ら志願してこの作戦に参加するなんて」

「ふふ、あのと私はこの世に2人しかいないメガヒューマノイドたからね」


 ここはどこなのでしょう? 真っ白い空間。その中にベンチが1つあります。今そこに啓一とモヒカンの男とリーゼントの男が座ってます。3人とも眠ってるようです。かなりみっともない寝相。

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