私の居場所 54
が、次の瞬間、左側頭部から血がピシューッと吹き出しました。慌てる日向隊員。
「えーっ!?」
明石悠も慌てます。
「日向さん!?」
日向隊員は思い出しました。アスファルトに自分の首か落下した瞬間を。
「あのときだ・・・」
そう、アスファルトに首が落ちた瞬間、擦過傷を負ってしまったのです。
首だけのときは必要最小限の生命維持装置が作動していたので出血はありませんでしたが、心臓のある胴体とつなげたので、血圧が一気に上昇し、大出血となってしまったのです。
次の瞬間、ひどい頭痛が日向隊員を襲いました。日向隊員は両手で側頭部を押さえます。
「いったー!・・・」
明石悠はすぐにスマホを取り出しました。
「す、すぐに救急車を!」
が、
「待って!」
日向隊員もスマホを取り出します。
「救急車呼んじゃダメ! 私の身体は特別なんだよ。ばれたら大問題になっちゃうよ! ここはテレストリアルガードに連絡しないと!」
が、日向隊員は頭の傷みがひどく、指か震えてしまい、スマホの画面にうまく触れることができません。
「くっ・・・ 指が、指が震える・・・」
明石悠はそれを見て、日向隊員の手からスマホを取ろうとします。
「私がかけるよ、電話!」
日向隊員は慌ててその手を振り払います。
「だめ! このスマホは私じゃないと操作できないの!」
そう、日向隊員の両腕は義手。日向隊員のスマホは、その指じゃないと操作できない仕組みになってるのです。
明石悠は途方にくれます。
「私、どうすればいいの?・・・」
と、アスファルトを駆ける足音が聞こえてきました。日向隊員はその方向を見ました。
「こ、こんなときに誰!?」
隊長です。テレストリアルガードの隊員服姿の隊長がこっちに向かって駆けて来ました。
「おーい、日向ーっ!」
日向隊員は安心顔。
「ああ、隊長・・・」
明石悠もほっとしてます。
「よかった・・・」
日向隊員の元に隊長が到着しました。
「大丈夫か?」
「あは、ちょっとムリかもしれません」
「そっか・・・」
と、隊長は突然日向隊員の身体をお姫様抱っこ。日向隊員はびっくり。
「ええ?・・・」
隊長は明石悠を横目で見て、
「君も一緒に来てくれ!」
「あ、はい!」
3人は街道の方へ歩き出しました。小走りです。隊長の胸の中の日向隊員は、顔が赤くなってます。
「あは、いつ以来だろ。お姫様抱っこされたのは・・・」
日向隊員は思い出しました。父親にお姫様抱っこされてる幼い自分、金目ひなたを。金目ひなたはすやすや眠ってます。父親はとても幸せそうな顔。
「あの日以来かな?・・・」
と、ここで日向隊員は疑問が発生しました。
「隊長、なんでピンチになってるとわかったんですか、私が?」
「匿名の電話があったんだよ」
「え?」
隊長はあとからついて来る明石悠を横目で確認して、声が小さくなりました。
「たぶん公安7課だな」
日向隊員も小声で、
「え、私たち、監視されてたんですか、公安7課に?」
「ああ、言ったろ。やつら、どこからどういう形で守ってくれるのか、さっぱりわからないって」
日向隊員はいろいろ記憶を辿りました。けど、公安7課の気配を感じたことは1度もなかったのです。当たり前です。公安7課は偵察用ドローンを使って監視してたのです。
テレストリアルガード作戦部門が田村佐恵子と初遭遇したときに飛ばしたドローン。公安7課はあのドローンを使ってたのです。
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