私の居場所 48

 テレストリアルガードは極秘の塊。たとえテレストリアルガードの他部署の隊員の親族であっても、秘密は絶対明かしてはいけません。それがテレストリアルガードのルールです。

 一方明石悠は黙り込んでしまいました。何か考えてるようです。


 ここは日向隊員の家とされてる住宅。その前の路上に隊長のクルマが停まってます。その両側の後部座席のドアが開いていて、それぞれ明石悠とギターを抱えた日向隊員が降りてました。ドアが閉まり、クルマが走り去りました

 日向隊員は明石悠を見て、

「中に入ろうか?」

「うん」

 2人は日向隊員の家とされてる住宅の門の中に入っていきました。これを道路の反対側、テレストリアルガード基地のフェンスの側から見ている3つの人影があります。内2人はフードを被ってます。

 この2人の顔を見ると、モヒカンの男とリーゼントの男でした。もう1人は啓一です。3人はニヤッと笑いました。


 ここは日向隊員の部屋(正確にはそう偽装された部屋)。今日向隊員がパソコンのスイッチを入れたところ。そして隣りにいる明石悠を見て、

「さあ、リクエストされた曲を覚えるよ!」

「うん!」

 日向隊員はマウスを操作して、

「まずはプライベートアイズのHoleと・・・」

 ここで日向隊員の声色が変わりました。

「プライベートアイズてあのバンドだったかな?・・・」

 明石悠はそれを聞いてびっくり。

「ええ~?・・・」

 日向隊員はプライベートアイズてバンドをかろうじて知ってる程度のよう。てことは・・・

 日向隊員は動画投稿サイトでHoleという曲(動画)を発見。

「これだ!」

 そしてマウスをクリック。曲が始まりました。演奏してるバンドは、当然プライベートアイズです。これを聞いた日向隊員は、

「へ~ こういう曲なんだ」

 と、ちょっと感嘆な声。明石悠が想像した通り、日向隊員はHoleて曲を知りませんでした。

「ええ、ほんとうに知らない曲なの~?・・・ そんな曲を覚えるっていうの? これから? これ、時間がかかるんじゃ・・・」

 明石悠はさらに不安になってしまいました。

 日向隊員は動画を見ながら、紙に何か書いてます。

「F・・・ G・・・ Am・・・」

 どうやらコードを採譜してるようです。明石悠はそれを見て、

「あは、すごーい! これなら早く憶えられるかも」

 けど、

「あはは、むりむり。私の耳じゃ、採譜なんか到底できないよ・・・」

 日向隊員は採譜を放棄しました。明石悠は心の仲で苦笑。

「あはは・・・」

 曲(動画)が終わると、日向隊員は引き続きマウスを操作。歌詞とコードを他のホームページで確認します。

「コード、コードと・・・

 あは、なんだ、この曲? コードが4つしかないじゃん」

 日向隊員はギタースタンドに立ててあったアコースティックギターを手にし、ジャ~ンと鳴らすと、歌い始めました。それを見て明石悠はびっくり。

「ええ、もう歌うの? 初めて聴いた曲なんでしょ?・・・」

 けど、日向隊員はスラスラと歌ってます。そう、5歳の時からピアノを習ってた日向隊員は、音楽センスが抜群。これくらい朝飯前なのです。

 日向隊員は歌い終えると、明石悠を見て、

「じゃ、次はあなたが歌う番よ!」

「うん!」

 明石悠は力強く返事しました。日向さんはいとも簡単にギターを弾いて歌ったんだ。私だって・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る