私の居場所 47
歩道橋の階段を下り終えた女神隊員もこの異変に気づきました。すぐにバイクにまたがり、エンジンをかけました。
警官に化けた橋本隊員はディレクター格の男に詰め寄ります。
「なんなんだね、あんたたちは!?」
するとディレクター格の男が、
「報道ですよ。今回の恐喝事件の被害者が歌ってるて話を聞いたから、来たんですよ!」
橋本隊員は横目で日向隊員と明石悠を見て、
「この2人は警察にちゃんと許可を取ってライヴをやってるんだ! あなたたちにそれを邪魔する権利はないだろ! だいたいあなたたちは、ちゃんと許可を取って取材してるのか、ええ!?」
「だからーっ、我々は報道なんですよ! いちいち許可はいらなでしょ、報道に!」
ここで突然、キーッ! クルマのブレーキ音。校門の前の車道に隊長のクルマが停車しました。日向隊員はそれに気づき、横目で明石悠を見て、
「行こ!」
「うん!」
2人はテレビカメラクルーの脇をすり抜け、隊長のクルマに向かいました。ディレクター格の男は慌てます。
「ちょ、ちょっと待って!」
ディレクター格の男、その他テレビカメラクルーが2人を追い駆けようとします。が、その前に1台のバイクが急停車。テレビカメラクルー一同がひるみます。
「うっ!?」
ディレクター格の男はそのバイクのライダーを怒鳴ります。
「なんなんだよ! 邪魔だ! どけよ!」
するとそのライダーの女神隊員は片足をアスファルトに着き、エンジンをふかし、その足を軸にスピンターン、1回転。テレビカメラクルーたちは慌てて後ずさり。
「うわっ!・・・」
女神隊員はテレビカメラクルーを見ます。その顔はヘルメットのシールドで見えないのですが、どうやら「ふっ」と笑ったようです。
が、次の瞬間、女神隊員ははっとし、振り返りました。そこでは日向隊員と明石悠が隊長のクルマに乗り込むところ。
日向隊員は車道側の後部ドアを開け、明石悠は歩道側の後部ドアを開けてます。が、明石悠は後部座席に乗り込むところで何かを感じ、フリーズしました。
「え?・・・」
明石悠はライダー=女神隊員を見ました。向かい合う2人。そのまま少し時間経過。
と、日向隊員が車内から明石悠を見て、
「何やってんの! 早く乗ってよ!」
その言葉に明石悠は我に還ります。
「ご、ごめん!」
明石悠は後部ドアに滑り込み、ドアを閉めました。走り出す隊長のクルマ。
「なんてことしてくれたんだよ!」
ディレクター格の男が怒鳴ります。女神隊員はその男を再び一べつ。そしてバイクを急発進させました。
ディレクター格の男は怒り心頭、そのバイクに向かって、
「待てよ、このクソ野郎ーっ!」
バイクに乗ってる女神隊員はぽつり。
「もしかしてあの
走り去る隊長のクルマ。その車内。後部座席には日向隊員と明石悠が座ってます。2人の間には日向隊員が弾いてたギターがあります。明石悠は日向隊員に質問しました。
「今の人は?」
が、明石悠のセリフは言葉足らずで日向隊員は何を質問されたのか理解できてません。質問を返しました。
「え、何?」
「さっきバイクに乗ってた人、もしかしてヘルメットレディ?」
「うん、そうだよ」
と日向隊員は軽く応えました。が、ハンドルを握ってる隊長は、それに激しく反応しました。
「日向!」
次に首を横に大きく振りました。日向隊員はヘッドレスト越しですが、隊長のその行為を認識しました。そして、
「す、すみません・・・」
平謝り。
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