私の居場所 28

 この不良を隣接のマンションの屋外階段から撮影してる人物がいます。不良の前にはブルーシートを持って不良を覆い隠してる警官がいますが、カメラが捉えてる影像は大俯瞰のせいか、不良は丸見えです。


 これをモニターで見ている隊長は満面の笑み。

「ふふ、いい時代になったなあ、おい! こんな映像、テレビじゃ絶対見られないだろ。インターネット様々だな、が~はははーっ!」

 その高笑いしてる隊長を宮山隊員が唖然とした表情で見ていました。


 舞台をくだんの中学校に戻しましょう。警察は2年生と3年生をそれぞれの教室に閉じ込めました。

 ここはそんなクラスの1つ。閉じ込められた生徒たちは、みんな焦り顔。

「オレたちゃ、何もしてないだろ・・・」

「いつまで待たせる気なんだよ、いったい・・・」

 突然引き戸がガラッと開き、1人の男子生徒と1人の制服警官が姿を現しました。男子生徒の顔は青ざめてます。そのまま歩いて自分の席に向かいました。それを見た男子生徒たちはざわついてます。

「おい、あいつの顔、真っ青じゃないか?」

「ああ・・・」

「いったい何を訊かれたんだよ、あいつ?・・・」

 男子生徒は自分の席に到着すると、カバンを持ち、再び引き戸へと歩き始めました。そして警官の横に来ると、振り向き、クラス中のみんなに謝罪。

「みんな、ごめん・・・」

 それを聞いてみんなびっくり、唖然。

「お、おい・・・」

 男子生徒は開かれたままの引き戸から廊下に出て行きました。帰宅です。警官は教室を見渡し、

「じゃ、次、出席番号2番の方!」

 すると1人の少女が立ち上がりました。

「はい・・・」

 警官はその少女を見て、

「こっちに来て!」

 少女は警官へと歩きます。と、1人の男子生徒が立ち上がり、警官に、

「あの~ すみません。ほんとうにこれ、クラス中のみんなにするつもりなんですか!?」

 別の男子生徒は座ったままで、

「自分たちは何もしてませんよ、絶対!」

 警官は応えます。

「君たちが何をやったのか、それとも何もしてないのか、それは我々警察が判断します!」

 別の女子生徒。

「私たちは何もやってないんですよ、ほんとうに! いつまで付き合わなくっちゃいけないんですか、こんなことに!?」

 大半の生徒がそれに呼応します。

「そうだそうだ! オレたちゃ、な~んの関係もないんだ!」

 すると警官は突然態度を豹変、怒鳴りました。

「ふざけんなーっ!」

 その一喝に生徒たちはすくみました。警官は元の態度に戻り、言葉を続けます。

「いいですか? たった1人の女子生徒が1億円以上もの金を恐喝されてたんですよ、この学校では! みなさん、それを知ってたんでしょ!? これは重大な犯罪なんですよ! とても異常な事件なんです!

 みなさん、なんで見て見ぬふりをしてたんですか!? なんで助けようとしなかったんですか!? これはこの学校の生徒全員の責任です!

 みなさんはこう思ってるんじゃないですか? 被害を受けてた女子生徒は1億もの金を出せるくらいの金持ちなんだから、別に恐喝されてもいいんじゃないかって。けど、その論理は世間では通じませんよ!

 日本中にインターネットで拡散してるんですよ、この事件は、もう! あなたたちの名簿まで出回ってるんですよ、すでに!

 日本の国民は全員あなたたちを犯罪者とみなしてます! 私たちは関係ないではすまなくなってるんですよ! 街に出たら後ろ指をさされますよ、間違いなしに! それは覚悟しておいてください!」

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