私の居場所 27

 この映像を見てる人物は、この男だけではありません。別の部屋でもこの映像を見ている人物がありました。日本国中でこの映像は見られてるようです。彼らは思いました。

「中学生なのにいきなり逮捕かよ!? こいつはすげぇ~な~!」

「ひどい中学校だなあ、ここ」

 こうしてこの事件の詳細はあっという間に日本国中に伝わりました。


 警察の手はくだんの中学校以外にも入りました。近隣の高校にも入ったのです。

 そう、明石悠にたかってた悪童どもは、当該中学校在籍の生徒だけとは限りません。去年まで当該中学校に通ってた新高校1年生や、高校に在籍しながら恐喝カツアゲに参加してた不良高校生もいるのです。

 ここはある高校。進学校らしい雰囲気が漂ってます。

 その廊下。今1人の生徒の両手首に手錠が掛けられました。生徒はくだんの中学校で少し前まで生徒会長をやってた男子生徒です。その顔は青ざめてます。

「ああ。終わった・・・」

 手錠を掛けた私服警官(刑事)が、男子生徒の肩をポンと叩きます。

「さあ、行こっか!」

 歩き出す刑事。なお、2人の制服警官がこの刑事に寄り添ってます。男子生徒は刑事に合わせとぼとぼと歩き出しました。

 クラスの引き戸からこの光景を見ている生徒たち、ざわついてます。

「お、おい、あいつ、何やったんだ?」

「さあ?・・・」


 ここは他の高校。校舎を見ると巨大な落書き。壊れてる備品。どうやら荒れてる高校のようです。

 玄関エントランス。前には3台のパトカーが駐車してあります。今怒声が響いてきました。

「触んなよ、こんにゃろーっ!」

「ふざけんなよーっ!」

 エントランスの脇から2人のいかにも不良て感じの男子高校生が複数の制服警官にがんばがらめで連行されてきました。

 別の数人の警官がブルーシートを持って2人の高校生の身体を隠してます。閉ざされた校門からいくつものカメラが狙ってますが、連行されてる不良は見えません。けど、その裏側からは丸見えです。

 2人の不良を捉えているカメラ。これは玄関の土庇どびさしに備え付けられた防犯カメラです。


 ここはテレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。巨大なモニターに先ほどの防犯カメラが捉えた影像が映ってます。これを見ているテレストリアルガードの隊員たち。その先頭の隊長。

 モニターに映った警官隊に連れて行かれる不良たち。立って見ている宮山隊員の頭の中は疑問でいっぱいになってます。

「あ、あの~ これ、なんの映像なんですか?」

 座って見ている隊長は応えます。

「ふっ、明石悠を恐喝してた高校生の映像だよ。不良だよ、こいつら!」

 宮山隊員はその応えに納得してません。

「いや、だ、だから・・・ 誰が撮ってるんですか、この映像?」

「高校の玄関に取り付けられた監視カメラの映像だ。誰かがハッキングして、動画投稿サイトで生中継してるんだよ」

「テレストリアルガードがハッキングしてるんですか?」

「バカ言うなよ。うちはこう見えても公的機関だぞ。どこかのハッカーが勝手にやってるんだろ」

 モニターの中、2人の不良高校生がパトカーに無理やり乗せられました。隊長はそれを見て、近くのテーブルに置いてあったマウスを操作しました。

「他にやってないのか?」


 ここはさらに別の高校。こちらも1人の不良が数人の警官に連行されてます。こちらの不良は正々堂々胸を張ってます。ぎらつく不良の眼。

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