私の居場所 25

 ここは廊下。開けっ放しの引き戸から今2人の刑事が出てきました。廊下では制服警官が2人立ってました。ベテランの刑事は2人の警官を見て、

「30分経ったら戻って来くる。それまで見張っててくれ!」

 2人の制服警官は敬礼。

「はっ!」

 2人の刑事は歩いて行ってしまいました。


 再び生徒会室。生徒会長がみんなに大きく頭を下げてます。

「みんな、ごめん・・・」

 他の生徒会員も焦り顔。自分たちも警察に連れていかれる・・・

 一方生徒会長は思い出してました。去年9月のある日の出来事を。


 そのころの生徒会長は2年生。ヒラの生徒会員でした。一方、当時の生徒会長は男子生徒。当然3年生でした。その生徒会長が9月のある日、

「重要な話がある」

 と言って、全生徒会員全員を集合させました。そこで当時の生徒会長の口から衝撃の発言がありました。

「みんな、聞いてくれ! 1年に明石悠という女子生徒がいるだろ?」

 現在の生徒会長が応えます。

「はい。肌の黒い外国人ぽい人ですね」

「ああ。そいつ、恐喝されてる」

 それを聞いて全生徒会員たちはびっくり。

「ええ~!・・・」

 現在の生徒会長は反射的に、

「警察に通報したんですか!?」

 と質問。それに対し当時の生徒会長は、

「いや」

 と応えました。現在の生徒会長はその回答に大きな疑問を持ちました。

「すぐに警察に通報しないと!」

「その必要はない」

「ええ、どうして!?」

 すると当時の生徒会長は高圧的に、

「いらないと言ったらいらないんだ!」

 その大きな声に現生徒会長はびっくり。肩をすぼめました。当時の生徒会長は応答を続けます。

「いいか、こんなことがバレたらうちの中学校の名折れだろ。それは生徒会ここの名折れにもなる! そんなことできると思うか!?」

 当時の生徒会長はここで声のトーンを変え、

「実は明石悠を恐喝してるグループは1つだけじゃないんだ。3つある。

 もし誰かが恐喝してるとき、別のグループが恐喝しに来たらどうなると思う? まあ、思いっきり殴り合いになるだろうな。そうなったらもう警察沙汰だ! すべてが露見してしまうてことになる! だから誰かが調整する必要があるんだ!

 そこで我々生徒会がこの順番を管理することになった!」

 生徒会長とは思えない発言。けど、当時の生徒会長の高圧的な態度に現在の生徒会長を始め、生徒会員は黙って従うしかありませんでした。当時の生徒会長はかなりワンマンなところがありました。普段からそれ以外の生徒会員は反論することすらできなかったのです。


 明石悠に対する恐喝ですが、最初のうちは恐喝してるグループは当中学校のグループだけでしたが、騒ぎを聞きつけて高校の不良グループや街の半グレグループも恐喝に参加してくるようになりました。最終的には明石悠を恐喝する不良グループは20以上にもなってました。生徒会はそのすべてのグループの順番を管理することになったのです。

 当初は明石悠は不良グループに1回3万円を払ってましたが、それが途中から5万円になり、最終的には10万円になりました。

 ある時期までは恐喝は1日1グループとしてましたが、不良グループが20以上にもなると、1回恐喝すると次は20日以上も空くことになります。不良がそんなに待てるはずがありません。そこで生徒会は1日に3グループまで許すことにしました。

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