私の居場所 24
生徒会長は2人の刑事に、
「ふっ、なんの用ですか?」
とすっとぼけました。その顔は満面の笑み。2人いる刑事のうち、ベテランの刑事が、
「あなたが生徒会長さんですね?」
「そうですけど?」
今度は若い刑事がスマホを生徒会長に見せつけました。
「これを聞いてください!」
スマホからは音声が流れてきました。それに合わせて画面に字幕も出てます。なお、字幕以外、画面は真っ黒です。
「もし不良グループ同士が殴り合いになって警察沙汰になったら、すべてが明るみになっちゃうでしょ。そうなったら日本国中にこの中学校の名前が知れ渡ることになる。そうなったら
ベテランの刑事。
「これはあなたの声ですね?」
まさにその通り。これは少し前に生徒会長が日向隊員に言い放った言葉。生徒会長は焦ります。
「ええ・・・ な、なんなんですか、これ!?」
若い刑事。
「これはほんの少し前に動画投稿サイトにアップされた音声ですよ」
ベテランの刑事。
「日本国中に拡散してますよ、あなたの言動が」
それを聞いて生徒会長はさらに焦ります。
「ええ・・・」
その一方で、生徒会長は頭の中をフル回転させました。誰が投稿した?
まず思い浮かべたのは日向隊員。けど、生徒会長はあの直後日向隊員のスマホを見ました。あのスマホは録音されてなかったし、音声を飛ばしてた様子もなかった・・・
じゃ、誰が録音したっていうの? 誰が投稿したっていうの?・・・ あそこにいた生徒は全員、
どうやら生徒会長の頭の中は、日向隊員がほかの無線装置を所持し、電波を飛ばしてたていう発想に辿り着けなかったようです。
2人の刑事は生徒会長を挟み込むように立ちました。
「ちょっと警察に来てもらいましょうか?」
生徒会長は焦るばかり。
「わ、私、警察に連れていかれる?・・・」
他の生徒会員も焦ります。
「生徒会長・・・」
生徒会長は最初のうちは黙って2人の刑事に従って歩いてましたが、2人の刑事が引き戸をガラッと開けた瞬間、何かのスイッチが入ったようです。突然立ち止まり、
「いやーっ!」
と叫びました。2人の刑事はびっくり。生徒会長はエビのように急速に数歩下がって、まくしたてます。
「私を誰だと思ってんの!? 私の父は県議会議員よ! 私、行かないから! 絶対行かないから、警察なんかに!」
2人の刑事は顔を見合わせ、呆れたというジェスチャーをしました。そしてベテランの刑事は生徒会長をにらんで、
「お嬢さん、いい加減にしてもらえますか、ふざけんのは!
いいですか? 証拠はもう十分揃ってんですよ!」
いや、警察はまだこの時点ではそんなに証拠を揃えてません。事件の全容を掴むために生徒会長の聴取がどうしても必要だったのです。
ベテランの刑事の言葉が続きます。
「もしあなたが高校生なら有無も言わずに引っ張って行くんですがねぇ、まだ中学生だから甘い顔してるだけなんですよ!
30分後にまた来ます。そのときは警察までご同行してもらいますからね、絶対!」
若い刑事は生徒会長の背後にいるそれ以外の生徒会員を見渡して、
「あなたたちも30分後にはご同行してもらいます。用意しておいてください!」
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