私の居場所 23

 と、ここで日向隊員の耳が何かを捉えました。日向隊員は窓の外を見ました。そこにはいくつかのヘリコプターが飛んでました。どうやら騒ぎを聞きつけて、マスコミのヘリコプターが集まってきたようです。


 再びテレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。全員大きなモニターを見てます。その中心にいる隊長。眼はモニターを捉えたままで、

「宮山隊員」

 と発言。宮山隊員もぼーっとモニターを見てましたが、この声を聞いてはっとします。

「あ、はい!」

 隊長は横目で宮山隊員を見て、

「公開しよう、この映像を!」

 宮山隊員はびっくり。

「ええ~・・・」

「あ、映像はマズイか? 映像を流したら、日向隊員あいつの身体にカメラがついてたことがバレちまうからな。音声だけ公開することにしよう。音声だけなら善意の生徒が録音して、公開したってことになるからな。

 あ、それからク〇○ボにはピーを入れておこう。そんなもん公開したら、国際問題になっちまうからな」

 宮山隊員の頭の中は疑問でいっぱい。

「い、いいんですか?」

 と言うのがやっと。それに対して隊長はちょっと苦笑し、

「ふ、かまわないさ。悪い子はお仕置きしておかないと!」


 くだんの中学校には3つの校門があります。さきほどパトカーが入ってきた校門は、中学校の玄関に面した大きくて立派な校門です。

 残りの2つの校門は、校庭グランドにあります。今そのうちの1つが開き、続々とパトカーが入ってきてました。かなりの台数です。

 パトカーは最初のうちは玄関の前に集結してましたが、すぐに満杯になり、あふれたパトカーは、校庭グランドに入ることになったのです。

 なお、もう1つの校庭グランドに面した校門は、幅が狭く、クルマでの出入りはほぼ不可能。明石悠と日向愛はこの小さな校門を使って登下校してました。

 ちなみに、マスコミの車両も続々と集結してますが、校庭グランドには入れさせてもらえません。路上駐車することも許されず、仕方なく少し離れた場所に駐車することになりました。


 中学校の校舎の一室。窓ガラスの向こうを見ると、校庭グランドに続々と入って来るパトカーが見えます。これをガラス越しに見ている女子生徒の姿があります。生徒会長です。生徒会長はちょっと焦り顔。

 どうやらこの部屋は生徒会室のようです。室内では1人の男子生徒が机に座ってディスクトップパソコンを操作してます。かなりイライラしてます。

「くそーっ、早くーっ! もっと早くーっ!」

 別の机ではラップトップパソコンを操作してる女子生徒の姿が。女子生徒は顔を上げ、

「フォーマット終了!」

 生徒会長はその女子生徒に振り返って、

「OK!」

 生徒会長は今度はディスクトップパソコンを操作してる男子生徒をにらみます。

「そっちはまだなの!?」

 男子生徒はまだ焦ってます。

「すみません。ふつーのフォーマットってどうしても旧データは残るんですよ。旧データを根こそぎ消すためのフォーマットって、時間がかかるんですよ。どうしても・・・」

 実は生徒会では明石悠の恐喝の順番をこのディスクトップパソコンで管理、そのバックアップをラップトップパソコンでやってました。この2つのパソコンをフォーマットしてしまえば、つまり、すべてのデータを消去してしまえば、生徒会や教師が明石悠の恐喝に関与してた証拠をすべて消し去ることができるのです。

 ついにフォーマット終了。男子生徒は歓喜の声をあげます。

「よーし、フォーマット完了!」

 その声と同時に、廊下との間の引き戸がガラッと開きました。生徒会一同は一斉にその方向に顔を向けました。

 開いた引き戸には2人の男性が立ってました。生徒会長はその2人をにらみました。

「誰?」

 2人は警察バッチを生徒会面々に見せつけ、

「少年課のものです!」

 こいつら、たった今中学校に来た刑事か?・・・ ふっ、証拠データは全部消した。生徒会にはな~んの問題もないはず!

 生徒会長は心の中でそうつぶやきました。

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