私の居場所 22
ここで生徒会長の声色が変わりました。
「ところで、あなたさあ、スマホ持ってんでしょ?」
「持ってんわよ」
「じゃ、出して」
「え?」
「出してよ!」
日向隊員は黙ってスマホを取り出し、それを生徒会長に突き出しました。生徒会長はそのスマホを奪い取るように受け取ると、画面を凝視。
「ふ、録音してなさそうね。どこかに音を飛ばしてた様子もないし・・・」
それを聞いて、日向隊員はドキッとしました。そう、日向隊員が金目ひなただった時代、山際怜子を何度も何度も恐喝して自殺に追い込みましたが、それが露見したきっかけは、山際怜子の友人真田
考えてみたら、あの時の小学校の教師も、金目ひなたの悪事を見て見ぬふりをしてました。どこの学校も似たようなものです。
生徒会長はニヤッと笑うと、鼻息荒く、
「フン!」
と言って、手にしたスマホを廊下に叩きつけました。驚く日向隊員。
「ええ~?・・・」
スマホは大きく1バウンド。そして床に転がりました。生徒会長の後ろにいた生徒会の1人が飛び出し、それをガンガンと踏みつけます。
「なんだ、こんなもん! こんなもん!」
日向隊員は唖然とそれを見てましたが、心の中には若干余裕がありました。そのスマホはテレストリアルガードからの支給品。日向隊員のものじゃないからです。
さらにです。それ以上に日向隊員の心に余裕を与えてくれるものがありました。日向隊員の胸のポケットに刺さっている妙にぶっとい万年筆。実はこれはビデオトランスミッター用のカメラ。そう、この光景はすべてテレストリアルガードの基地にリアルタイムで送られていたのです。
ここはテレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。すへでの隊員が巨大なモニターを見て、唖然としてます。その中にあって隊長だけは、平然とした顔をしてつぶやきました。
「ひでーな、この学校・・・」
中学校の廊下。床に転がってる日向隊員のスマホはズタズタ。液晶が漏れ出ています。生徒会長はニャッと笑って、
「今のこと、先生にチクッてもいいわよ。けどねぇ、チクッたところで先生は何もしてくれないわよ。
さっき連れていかれた先生は3人だけだったけど、実はね、みんな知ってんのよ、この学校の先生は。あのク〇○ボが
生徒会長は歩き始めました。それ以外の生徒会員もそれに続きます。生徒会長は日向隊員とすれ違うとき、その耳に、
「警察に駆け込んだってムダよ。こっちは品行方正で通ってる生徒会なのよ。警察があなたのいうこと聞くはずわないわよ。あはは!」
生徒会員は行ってしまいました。それに合わせるように、日向隊員を取り囲んでいた生徒たちも三々五々行ってしまいました。
1人取り残されてしまった日向隊員。彼女の眼の前にはズタズタにされてしまった彼女のスマホが転がっています。このスマホ、テレストリアルガード特注のスマホ。市中で売られてるスマホにはありえない機能もついてます。放っておくわけにはいきません。
日向隊員はハンカチを取り出すと、そのハンカチにスマホを包み、ポケットに入れました。
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