私の居場所 19
隊長は日向隊員の囁きを聞き終えると、ニコッと笑って、
「ふ、わかったよ。こっちでなんとかしよう」
日向隊員は安心顔。
「ありがとうございます! じゃ、行ってきます!」
日向隊員は自動ドアを開け、サブオペレーションルームを出て行きました。
ここは通学路。中学生のみんなが学校に向かって歩いてます。その中には日向隊員の姿もあります。日向隊員は昨日したように近くを歩く女子生徒に声をかけました。
「おはよう!」
女子生徒はびっくり。振り返りながら、
「お、おはよ・・・」
女子生徒は日向隊員は反射的に返事をしようとします。が、ここで意外な行動に出ます。慌てて眼をそらしたのです。もちろん返事はありません。日向隊員はびっくり。
「え?」
日向隊員はほかの男子生徒や女子生徒にも声をかけますが、全員無視。日向隊員は焦りました。
「ええ、なんで?・・・」
試しに、昨日返事をしてくれた街を清掃してるおじいさんにも声をかけました。
「お、おはようございます」
すると、
「おはよう!」
と返事を返してくれました。街のおじいさんは返事をしてくれるのに、なんで同じ学校に通う生徒は返事をしてくれないの?
日向隊員は再び制服姿の男子生徒に、
「おはよう!」
とあいさつしますが、さっとそっぽを向かれてしまいました。明らかに避けてます。いったい何があったの? 日向隊員の脳裏は、疑問でいっぱいになりました。
日向隊員の前に中学校が見えてきました。
日向隊員が教室に入ってきました。教室の中にはすでにかなりの数の生徒がいます。日向隊員は昨日仲良くなった3人組を見つけると、
「おはよう!」
と声をかけました。が、3人ともぷいっと向こうを見てしまいました。明らかに無視。
「ええ~?・・・」
日向隊員はここで1つあることを思い浮かべました。
「まさか、あのことで?・・・」
あのこととは、昨日日向隊員が黒い肌の少女にたかってた4人組の不良を撃退したこと。日向隊員が見逃した1人、もしくは別の恐喝グループが音頭を取って日向隊員を無視するように学校中の生徒にお触れを出したのか? それとも生徒1人1人が自主的に日向隊員を無視してるのか?
私の行為は正義じゃなかったの?・・・ 日向隊員は唖然とするしかありませんでした。
引き戸が開き、万田先生が入ってきました。
「よーし、みんな、ホームルームを始めるぞ!」
ホームルームが始まりました。が、しばらくして異変が。引き戸の向こうからバタバタと騒々しい音が響いてきたのです。万田先生ははっとします。
「ん?」
突然引き戸がガラッと開きました。そこにはいかにも刑事て感じの中年の男性が。さらに彼の背後には、2人の制服警官が立ってました。万田先生はけげんな顔をします。
「な、なんだね?」
刑事さんは1枚の紙片を万田先生に見せつけました。
「万田博義、あなたを恐喝容疑で逮捕します!」
どうやらその紙は逮捕状だったようです。これを聞いて教室中の生徒が驚きの声をあげました。
「ええーっ!」
万田先生は無言で唇を噛みしめてます。刑事さんは万田先生の左肩を掴み、
「さあ、来てもらいましょうか!」
万田先生は刑事さんに誘われるまま、教室を出て行きました。ぴしゃっと閉まる引き戸。
「ちょ、ちょっと何が起きてんだよ!?」
最前列に座ってた男子生徒が慌てて引き戸を開けました。彼と彼に続く生徒たちは、そこで起きてる光景を見てびっくり。刑事さんが万田先生に手錠をかけてるのです。
「ええ~!」
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