私の居場所 20

 万田先生は生徒たちを一べつして、

「みんな、すまん・・・」

 万田先生は刑事さんたちに連れられ、行ってしまいました。いつの間にか教室中のすべての生徒が廊下に出ていて、それを愕然と見ていました。

「万田先生、いったい何をやったんだ?・・・」

 その中には日向隊員の姿もあります。日向隊員はみんなから無視されてる最中ですが、今は緊急事態か、身体はみんなと密着してました。

 そこに1人の男子生徒が駆けて来ました。

「みんな、大変だっー! パトカーが、パトカーがたくさん来てるぞーっ!」

 一同びっくり。

「ええーっ!」


 ここは学校の門と玄関の間。数台のパトカーが駐まってます。これを校舎の玄関の前から見ている教師たちの姿があります。顔を見ると、全員焦った、または青ざめた表情。

 この校舎の2階(この部分の最上階)の廊下には、生徒たちがたむろっていて、パトカーを注視してます。この中学校のほとんどの生徒が集まったらしく、大混乱してます。

 万田先生が先ほどの刑事さんに導かれ、パトカーの後部座席に入りました。それを見ている女子生徒が愕然。

「万田先生、連れて行かれちゃうよ・・・」

 別の女子生徒は違う箇所を指さしました。

「あ、あれは?」

 2人の男が万田先生同様、パトカーに強制的に乗せられてます。それを見てざわつく生徒たち。

「お、おい、あの2人もうちの先生だよな?・・・」

「いったい何が起きてんだよ?・・・」

 女子生徒の1人が何か思いついたようです。

「あ、あいつだ!」

 その隣にいた男子生徒。

「そうだよ、あいつが警察にチクッたんだよ!」

 今度は複数の生徒が、

「そうだ! あいつのせいだ!」

 次の瞬間、

「きゃーっ!」

 という悲鳴が。それを合図に生徒たちが一斉に後ずさり。ぽっかり空いた空間には1の女子生徒が取り残されました。日向隊員です。当の日向隊員は心の中では、

「ええ~?・・・」

 て感じになってますが、そんな感情を見せたら付け込まれると思ったらしく、あえて平然とした表情を示しました。

 そこに、

「生徒会長!」

 の声が。と同時に、日向隊員の前に1人の女子生徒と彼女に続く数人のグループが現れました。女子生徒はおかっぱ頭にメガネ、低身長とあまり生徒会長て感じはありませんが、どうやら生徒会長のよう。背後のグループはそれ以外の生徒会員のようです。

 生徒会長は怖い顔を見せ、日向隊員をにらみました。

「あなたが日向愛?」

 日向隊員は躊躇なく応えます。

「そうよ。私が日向愛!」

「あなた、自分が何をしたのか、わかってんの!?」

「何って・・・ 私は昨日、恐喝カツアゲされてる子を・・・ ここの女子生徒を助けた!」

「そのあと警察に行って、ベラベラしゃべったていうわけ!?」

「な、何言ってんの?・・・

 そうよ、警察には行ったわよ! 警察に連れていかれて、いろいろと事情聴取を受けた。私、あいつらに大けが負わせちゃったから、逮捕されるのが怖くって、そこで何があったのか、全部しゃべった!」

「ふ~ん、そう。やっぱ全部あなたのせいだったのね!」

 な、何、こいつ? こいつ、本当に生徒会長なの? 日向隊員はそう思うと、ストレートに質問しました。

「みんな、私を無視してんのは、生徒会あなたたちの命令!?」

 生徒会長は失笑。

「ふ、何を言うかと思えば・・・」

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