私の居場所 18

 錦弁護士。

「私はこれから公安7課と相談してみます」

 公安7課とはテレストリアルガード警察支部と言われてる警察内の部署。こんなときはかなり信頼できる部署です。

 錦弁護士の話が続きます。

「彼らはどう判断し、どう行動するのかわかりませんが、きっと最良の解決方法を見つけてくれるはずですよ」

 錦弁護士は周りを見渡し、

「今日はこのへんで終わりにしますか?」

 チョコレートパフェを食べ終え、紙ナプキンで口を拭いてた日向隊員が慌てて、

「あ、ちょっと待ってください」

 日向隊員は明石隊員を見て、

「あの被害を受けてた女の子、ほんとうにあなたの娘さんなんですか?」

 隊長もその質問に反応しました。

「あ~ 私も気になりましたねぇ、それ。あの、どう見ても東南アジア系かインド系だと思うのですが? 日本人であるあなたとどういう関係が?」

「そ、それは・・・」

 明石隊員は応えようとしますが、ちょっと考え、

「それは言えません」

 日向隊員はけげんな顔を見せました。

「ええ、なんで?」

 明石隊員。

「君もテレストリアルガードの隊員だろ? 理由は言わなくてもわかるんじゃないか?」

 日向隊員は身を乗り出し、

「ええ~? そんなの理由になりませんよ!」

 その日向隊員の顔の前にてのひらが。日向隊員はびっくり。

「ええ?」

 そのてのひらの持ち主は隊長でした。隊長は日向隊員の顔を見て、顔を横に振りました。日向隊員は空気を読んで黙り込みました。隊長は明石隊員を見て、

「わかりました」

 日向隊員はまだ悔しそう。それを少しでも解消するつもりか、再び質問しました。

「せ、せめて名前くらいは教えてくださいよ」

 明石隊員が応えます。

「悠・・・ 明石悠だ」

 隊長は日向隊員を横目で見て、

「ふ、おまえがあいで、向こうがゆうか。あなたと私だな」

 会議はこれで終了。解散となりました。


 夜、ホテルをあとにした隊長が駆るセダンが走ってきました。

 その車内、運転してるのは隊長。助手席には日向隊員が座ってます。日向隊員はぽつり。

「あ~ なんか納得いかないなあ・・・」

 隊長はハンドルを操作しながら、

「明石悠の正体か?」

「ええ・・・」

「まあ、誰にでも人に言えない事情がある。お前なんか、事情だらけだろ」

 日向隊員は苦笑い。

「あは・・・」

「このことに関しては、もう触れないでおこう」

「わかりました」


 翌朝、ここはテレストリアルガード基地のサブオペレーションルーム。隊長は巨大な卵型テーブルに座って新聞を読んでます。他の隊員も揃っていて、インターネットなどをやってます。

 突然引き分けの自動ドアが開ました。隊長はそちらに振り向きました。

「ん?」

 そこには中学校の制服姿の日向隊員が立ってました。隊長は途端につかめっ面に。

「おい、ここに入って来るときはテレストリアルガードのユニホームに着替えろって言ってんだろ!」

「す、すみません・・・ 実は・・・」

 隊長はピーンときました。そして軽く手招き。

「ふ、ちょっと来い」

「はい」

 日向隊員は隊長に歩いて行きました。レーダースコープを見ていた宮山隊員は、その日向隊員の行動に気づき、そして疑問を持ちました。

「ん、日向さん、何?」

 側にきた日向隊員に隊長は小声で質問。

「夢か?」

「はい。あの~・・・」

 日向隊員は隊長の側面に密接し、その耳に囁きました。

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