私の居場所 7

 南原主幹の説明が続いてます。

「例えば学校の廊下で君が誰かと鉢合わせしたとする。もし激しくぶつかっていたら、互いが尻もちをつくはず。でも、君がメガヒューマノイドの性能のままだと、君は倒れない。逆に相手は吹き飛ばされ、それだけで大けがしてしまうかもしれないんだ。だから私はデチューンしておいた方がいいと思うんだ。

 まあ、隊長さんの意見だ。開発部門の私は逆らうことはできないな。

 君がその気になったら、軽く人を殺せる。何人も、何十人も、何百人も。十分注意して身体を扱って欲しいな」

 何人も、何十人も、何百人も軽く人を殺せる。この言葉に日向隊員は一瞬考え込みました。自分はそんな恐ろしい兵器になってしまったんだ。

 けど、すぐに我に還り、返答しました。

「はい」

 と、ここでドアが向こう側からノックされ、

「あ~ もしもし、よろしいですか?」

 の声が。日向隊員はすぐに誰の声かわかりました。

「あ、この声は隊長!?」

 南原主幹もドアを見て、

「どうぞ」

 ドアが開き、テレストリアルガードの隊員服を着た隊長が入ってきました。

「失礼します」

 隊長は日向隊員を見て、

「ふ、完成したんだな」

 南原主幹はちょっとばつが悪そう。

「いや~ 遅れてすみません。ギリギリ間に合いましたよ」


 夕陽の中、巨大病院から1台のセダンが走り出しました。テレストリアルガードのカラーリングが施されたクルマです。

 その車内。運転してるのは隊長。助手席には日向隊員がいます。2人は会話してますが、声は聞こえてきません。日向隊員は笑顔。隊長も笑顔です。なお、日向隊員はテレストリアルガードの隊員服に着替えてました。首には紺色のチョーカーも見えます。


 テレストリアルガード基地、入口のゲート。隊長が運転してるクルマが帰ってきました。ゲートが自動的に開き、クルマが基地の敷地に入ろうとします。

 数人の人影がヘッドライトに照らされました。パパラッチです。ゲートの周りにはまだ女神隊員の単眼を狙うパパラッチが数人たむろってました。さっそく撮影開始。クルマはそれを無視して基地内に入って行きました。


 サブオペレーションルーム。引き分けの自動ドアが開き、隊長と日向隊員が入ってきました。

「ただいま~」

 サブオペレーションルームの中にはテレストリアルガード作戦部門の隊員全員が揃ってました。女神隊員は宮山隊員と一緒にアニメのビデオを見てましたが、隊長入室と同時に振り返り、

「お帰りなさい!」

 なお、このときの女神隊員は、ウィッグだけで特徴的な単眼を隠してました。

 隊長は横にいる日向隊員を見て、

「さあ、明日から学校だ。もうお風呂に入って寝た方がいいんじゃないか?」

「ええ~ 隊長、いくらなんでも早過ぎですよ。私、ギター弾きたいな」

 ヘッドホンステレオを聴いてた寒川隊員がそれに反応しました。

「ん?」

 日向隊員。

「この前はうまく弾けたけど、今回の改造手術で指先の感覚が変わっちゃってるといけないから、ちょっと試してみたいんです」

 隊長。

「ふふ、そっか」

 宮山隊員はびっくりしてます。

「え、改造手術?」

 宮山隊員は女神隊員に質問です。

「改造手術てなんですか? もしかしてあの、仮〇〇〇ダーの1人?」

「さあ・・・」

 女神隊員はまたもやすっとぼけました。

 寒川隊員がアコースティックギターを持ってきました。

「はい」

 日向隊員はそれを受け取りました。

「ありがとうございます」

「ガット弦用のギターに変えておいたよ。ただ、ガット弦はすぐにチューニングが狂うから、弾くたびにチューニングし直した方がいいな」

 日向隊員は応えます。

「はい」

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