侵略者を撃つな! 114

 隊長はふっと笑うと、

「どうやらどこかで夢が現実に変わったようだな」

 日向隊員は、

「そんなバカな!」

 と一瞬苦笑いしましたが、そうでないと説明できないのも確かです。日向隊員は考え込んでしまいました。

「う~ん・・・」

 隊長は海老名隊員を思い浮かべ、

「しかし、えびちゃんの超能力をすべて受け継いでいたとはなぁ、君が・・・ けどなあ、あいつ、テレパシーはなかったはずだぞ?・・・」

 日向隊員は以前夢の中で会話した海老名隊員を思い出しました。

「夢の中に出てきた海老名さんは、こんなこと言ってましたよ。

 死んだらわかった。私、秘密の力を半分しか使ってなかった。あなたにはこの力を100%にしてプレゼントしてあげる、て」

「えびちゃんは自分の超能力すべてを使ってなかったてことか? テレパシーもその1つだったのか? ふっ、まだまだ秘密の能力はありそうだな。

 けどなあ、前もって自分の能力を全部把握していたら、あいつ、不良に殴られて死ぬことはなかったのにな・・・」

 隊長はため息。ちょっと悔しそう。と、隊長は日向隊員を見て話を変えました。

「どうだ、これからオレとデートしないか?」

「ええ?」

 日向隊員は思いました。私は小学生だよ、今は学校に行ってないけど・・・ テレストリアルガードの隊長が小学生とデートしていいの?

 が、それとは別に日向隊員の脳裏には、ある甘いスイーツが浮かんできました。で、それがそのまま言葉になりました。

「パフェ、食べたい!」

 隊長は苦笑い、

「あは、そうか」


 街道を1台のクーペタイプのクルマが走ってます。その車内。運転してるのは隊長、助手席には日向隊員が座ってます。2人とも私服に着替えてます。なお、クルマは隊長の私用です。

 日向隊員はニコニコしてます。隊長はその日向隊員の顔を横目で見て、

「気分いいみたいだな、お前」

「あは、私、パフェ大好きなんですよ! パフェ食べるの、久しぶりだなあ。この身体になって初めてなんですよ!」

 隊長は一呼吸置いて、

「ところで、ちょっと訊きたいのだが・・・ 本当にオレ、寒川を撃ち殺したのか?」

 日向隊員は真面目な顔になり、

「はい」

「寒川を撃ち殺したあと、自分の口の中にレーザーガンを突っ込んで自殺したのか?」

「はい。けど、全部夢の中の話ですよ。隊長はテレストリアルガードの隊長トップですよね。そんなこと絶対しませんよね」

 隊長は苦笑い。

「あは、そうだな」

 が、隊長は心当たりがありました。病院で海老名隊員の脳死宣告を受けたときのこと。あのときの隊長はやり場のない怒りが一気に沸騰し、そこに現れた当時のメガヒューマノイドセクションの主幹、下島さんを殴り、あごを思いっきり蹴飛ばしました。

 あのときの騒動を考えれば、すみれ隊員を撃ち殺した寒川隊員を怒りの余り撃ち殺し、全てをあきらめ、そのまま自殺する可能性も十分考えられます。隊長はただ苦笑いするしかありませんでした。

 隊長は話を変えます。

「もう1つ訊きたいことがあるんだ。お前んとこにも来たろ、面接官が?」

「はい」

「どう応えたんだ?」

「あは、私、隊長についていきますよ! 当然ですよ!」

 隊長はまたもや苦笑い。

「あは、そっか」

 実はこの日の前の晩、隊長以外の全テレストリアルガード作戦部門の隊員に面接がありました。

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