侵略者を撃つな! 115

 面接の目的ですが、今度新しくできる部門への移籍。作戦部門に残るのか? それとも新部門に移るか? 日向隊員の応えはNoでした。今の隊長のもとに残ることにしたのです。

 日向隊員だけではありません。倉見隊員も、寒川隊員にも、女神隊員も応えはNoでした。長期有給休暇中の橋本隊員のところにも連絡がありましたが、彼の応えもNoでした。

 が・・・ 隊長はぽつり。

「実は・・・ 上溝は新しい組織に移る気らしい」

 日向隊員はびっくり。

「え!?」

 日向隊員は上溝隊員を思い出し、

「やっぱり私、あの人に嫌われてんのかなあ?・・・」

「まあ、あいつにはあいつの理由があるんだろ。オレはあいつの意志を尊重する気だ。

 あいつ、異動日まで有給休暇を取ったよ。あいつと会うことはもうないだろうな」

 先ほどまでにこやかだった日向隊員の顔は、無表情になってしまいました。


 ここは街の中、デパートのテラス。ここに複数の丸いテーブルが置かれてます。テーブルにはいくつかの人影があります。

 今ここにウェイターが現れました。ウェイターはトレーを持ってます。ウェイターはもっとも柵(パラペット)に近いテーブルに行き、

「お待たせしました!」

 と言って、テーブルの上にパフェとコーヒーを置きました。パフェは巨大。シャインマスカットの粒がこぼれ落ちるくらい載ってます。

 このテーブルに座ってた日向隊員はそのパフェを見て、えびす顔。

「あは、きたきた!」

 日向隊員はさっそくシャインマスカットの粒をスプーンで掬い、それを口の中に運びました。途端に顔が大きく崩れました。

「あは~ 美味い!」

 日向隊員と相対して座ってた隊長は、それを見て微笑みを浮かべました。

「ふっ」

 そこにギターの音色が聴こえてきました。日向隊員と隊長はその音が聴こえてきた広場を見ました。広場の中、1人の男性がギターをかき鳴らしてます。私服の寒川隊員です。日向隊員はそれを見て、

「次の曲が始まりましたね」

 隊長はぽつり。

「あ~あ、だれも見てねーなあ・・・」

 日向隊員は寒川隊員の周りのオーディエンスたちを見て、

「え? でも、いますよ、人が、かなり」

「ふ、以前ここでストリートライヴをやったときのオーディエンスは、こんなもんじゃなかったんだよ。とてつもない数だったんだ。今オレたちがいる場所も人が溢れてたんだよ」

「ええ、そんなに?・・・ なんでこんなに人が減ってしまったんですか?」

「すみれだよ」

「え、すみれさん?」

「ああ、今は寒川が1人で歌ってるが、ちょっと前まではすみれが歌ってたんだ。寒川はギターをかき鳴らすだけだったんだよ。

 すみれの声には不思議な魅力があった。迫力があったと言った方が正解かな? それでたくさんの人を呼び寄せることができたんだ」

「すみれさんてそんなにすごい人だったんだ・・・」

「でも、取られてしまったんだよ、すみれを、メガヒューマノイドの手術に」

「え~、なんで拒否しなかったんですか?」

「テレストリアルガードは公的な組織だ。オレたちゃその中でも下っ端の方だ。黙って上の命令に従うしかないんだよ。

 けど、2人のデビューコンサートは間近だった。それで寒川は宣伝のために1人でストリートライヴを続行したんだが、見ての通り、オーディエンスはどんどんが減ってしまったんだよ」

「明後日コンサートですよね。すみれさん、復帰しないんですか?」

「復帰できると思うか、あいつ?」

 日向隊員は考え込みました。

「う~ん・・・」

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