侵略者を撃つな! 112
隊長の話が続いてます。
「あんたは宇宙人だ。日本の法律は地球人のみを対象としてるんだ。それにオレたちはテレストリアルガードだ。現行犯でもない限り、逮捕することはできないんだよ」
ユラン岡崎は地面に這わされているすみれ隊員を見ました。
「じゃ、その
隊長。
「そんなことしたら、あんた、この
「ふ、そのつもりだ・・・ いや、痛いのは嫌だな。殺されるんなら一思いに・・・」
ユラン岡崎は寒川隊員を見ました。
「ユタカ」
寒川隊員は芸名で言われ、びっくり。ユラン岡崎の発言が続きます。
「君の光線銃をすみれに渡してくれないか?」
戸惑う寒川隊員。
「ええ?・・・」
隊長はすみれ隊員の拘束を解きました。そして寒川隊員を見て、
「寒川、渡してやれ」
寒川隊員は唖然。隊長は再び、
「渡してやるんだ」
「で、でも・・・」
隊長はダメを押すように、
「渡せよ。その人のたっての願いだぞ!」
寒川隊員は唇を噛みました。と、寒川隊員は視線を感じ、はっとしました。その視線は一緒にすみれ隊員を拘束している女神隊員の視線でした。女神隊員はうなずきました。それを見て寒川隊員もうなずきました。
2人はすみれ隊員の拘束を解きました。立ち上がるすみれ隊員。寒川隊員はそのすみれ隊員にレーザーガンを渡しました。すみれ隊員はユラン岡崎を見ました。狂気に満ちた眼です。
「うぉーっ!」
すみれ隊員は吼えました。
ここはテレストリアルガード基地日向隊員の私室です。日向隊員はベッドに腰かけてます。かなりの心配顔。
「今現場はどうなってるんだろう? 女神さんは事態を収拾してくれたかなあ?・・・ 海老名さんだったらこんなとき、いったいどうするんだろう?・・・」
と思った瞬間、日向隊員の目の前に異様な光景が現れました。
大柄の男性(ユラン岡崎)にレーザーガンを構えるすみれ隊員。さらに隊長・寒川隊員・女神隊員も見えます。これらがまるで3次元映像のように部屋の中央に現れたのです。日向隊員は唖然。
「な、なんなの、これ?」
そう、これは海老名隊員のもう1つの超能力、リモートビューイングです。
すみれ隊員の殺意に満ちた眼。日向隊員はそれを見て、
「ああ、すみれさんが人を殺そうとしている。なんとかしないと・・・」
けど、遠隔地にいる日向隊員に手段があるはずがありません。ほぞを噛む日向隊員。
「くっ・・・」
と、日向隊員の脳裏で1つの曲が自動的に始まりました。アコースティックギターだけで演奏された曲。それは日向隊員が唯一知ってる尾崎豊の曲でした。日向隊員は何気にその曲を口ずさみ始めました。
ゴルフ場の芝生の上、覚悟を決めたユラン岡崎。一歩一歩彼に近づいていくすみれ隊員。その手にはレーザーガンが握られています。隊長と女神隊員はそれをただ見守ってるだけ。寒川隊員はなんとかしようと考えてますが、今更なにもできません。頭の中でこう思いました。
「すみれ、その人はオレたちの大事な恩人じゃないか? ほんとうに殺す気なのかよ? お前はそんなに薄情な人間なのかよ!?」
そのときです。寒川隊員の脳裏にふとアコースティックギターの音色が流れてきました。驚く寒川隊員。
「な、なんだこれ?」
それは尾崎豊の曲のイントロでした。
「尾崎の曲?」
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