侵略者を撃つな! 107

「ちょっと行って来るよ」

 そう言い終わると、女神隊員はヘルメットを被りした。次の瞬間、女神隊員の身体はふっと消えました。それを見て日向隊員は腰を抜かすほど驚きました。

「ええ~?・・・」

 そう、女神隊員のテレポーテーション能力を日向隊員はまだ知らなかったのです。


 暗闇の針葉樹林の上を低空飛行してる透明なクレイン号。と、針葉樹林が芝生に変わりました。ゴルフ場です。

 クレイン号のコックピット。操縦席に座ってる寒川隊員がはっとしました。

「ん、あれは?」

 あるホールのグリーン上に複数の人影が見えます。副操縦席に座ってる隊長がそれを見て、

「どうやらあれらしいな。よし着陸!」

 寒川隊員が応えます。

「了解!」

 透明なクレイン号が隣りのホールのフェアウェイに着陸。隊長と寒川隊員がクレイン号を降りました。2人は木立を抜け、グリーンに立つ複数の人影を見ました。距離にして400mくらい。隊長は双眼鏡を取り出し、それを利用して人影の数を数え始めました。

「1、2、3・・・ おいおい、全部で10人いるじゃないか。公安7課は日本にいるリンドブルム星人は7人と言ってたが、3人も見逃してたのか?」

 突然10人の頭上に宇宙船が現れました。クレイン号を2周り大きくしたような大きさ。隊長はそれを見て、

「ふっ、あちらさんもちょうど今到着か。これ以上近づくとこっちの存在を体温で検知されるから、こっから監視することにしよう」

 2人は身を低くしました。

 宇宙船から真下に光が放たれました。その光に包まれ10人全員の身体が浮上し始めました。隊長はそれを見て、

「おいおい、10人全員同時に吸い上げることができるのか? やっぱ向こうの技術はすごいなあ・・・」

 寒川隊員も双眼鏡で10人を見てます。その中には寒川隊員がよく知ってる顔もありました。変装してないユラン岡崎です。寒川隊員はぽつり。

「ユランさん・・・」

 と、ここで1つの人影が針葉樹林の上にこつ然と現れました。人影は10人に突っ込んでいきます。

「うおーっ!」

 隊長はその人影を見て、びっくり。

「す、すみれ?」

 すみれ隊員はレーザーガンを一番手前にいたリンドブルム星人に向けました。

「父の仇、死ねーっ!」

 ターゲットにされたリンドブルム星人の顔がひきつります。

「や、やめろーっ!」

 寒川隊員が叫びます。

「やめるんだ、すみれーっ!」

 すみれ隊員の銃爪ひきがねにかかる指が引かれていきます。と、ここで芝生の上にドス黒いもやが現れ、さらにその中から女神隊員が出現しました。女神隊員は真上を見て、

「おっと!」

 すみれ隊員、レーザーガンを発射。が、何か巨大なものがすみれ隊員と10人の間にこつ然と現れました。女神隊員が巨大化したのです。

 その女神隊員の前にまばゆい光が発生。防御用の光の壁です。その壁がすみれ隊員が発射した光弾を弾きました。すみれ隊員は驚きの顔。

「え?」

 隊長と寒川隊員もびっくり。

「め、女神?・・・」

 浮上中の10人のリンドブルム星人も驚いてます。

「ヘルメットレディ!?」

 空中のすみれ隊員は、女神隊員の身体を廻りこもうとします。

「くっ!」

 片膝の女神隊員は、そのすみれ隊員の身体を両手で掴みました。

「おっと!」

 掴まれたすみれ隊員は、顔だけが飛び出してる状態。叫びます。

「くそーっ、離せーっ!」

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