侵略者を撃つな! 108
地上の寒川隊員。
「女神さん、いいぞ!」
10人はそのまま宇宙船に昇っていきます。すみれ隊員はそれを見てもがきます。でも、女神隊員の手は当然のように解けません。
「くそーっ! 離せよーっ! 父の仇が逃げちゃうよーっ!」
そのすみれ隊員を見てる上昇中のユラン岡崎は、何かを考えます。
宇宙船は10人を吸い込むと、消滅しました。認識ステルス機能を作動させたようです。女神隊員はかがみ、すみれ隊員を地面に降ろしました。すみれ隊員はそのままへたり込んでしまいました。
「くそっ・・・」
そのすみれ隊員に隊長と寒川隊員が駆け寄りました。
「すみれ!」
すみれ隊員はその2人にレーザーガンの銃口を向けます。
「寄るな!」
はっとする隊長と寒川隊員。が、そのレーザーガンを弾く巨大なものが。すみれ隊員は思わず悲鳴をあげました。
「きゃっ!」
レーザーガンは舞い上がって芝生に落ちました。レーザーガンを弾き飛ばしたものは、巨大化してる女神隊員の人差し指でした。隊長は女神隊員を見上げ、
「ふふ、ナイスだ!」
女神隊員は縮小化し、元の身長に戻りました。一方隊長は、芝生に落ちてるレーザーガンを拾いました。寒川隊員は横座りしているすみれ隊員の前に立ちました。
「なんでこんなことを?」
「だって、父の仇が・・・」
隊長。
「お前が銃口を向けた相手が父親の仇だという確証はあったのか?」
すみれ隊員は首を横に振りました。寒川隊員。
「まさか、10人とも殺すつもりだったのか?」
すみれ隊員は首を縦に小さく振りました。隊長。
「呆れた。お前の仇は1人だけだろ。もし10人全員殺したら、仇じゃなかった9人の子どもに仇討ちされても文句は言えないんだぞ! それがお前の論理じゃないのか!?」
すみれ隊員は無言。ただ無念の表情を見せてるだけです。
次の瞬間ここにいる全員がはっとしました。光が降り注いできたのです。一同が見上げると、光の昇降機を使って1人の男が降りてくるところでした。その男はユラン岡崎。寒川隊員はびっくり。
「え、ユランさん、なんで?・・・」
ユラン岡崎の身体は芝生に到達。そしてぽつりと発言。
「その
それを聞いてすみれ隊員は激怒。
「お前かーっ!」
すみれ隊員はユラン岡崎に殴りかかろうと突進します。寒川隊員と隊長はあわてます。
「やめろーっ!」
が、女神隊員は冷静に見てました。女神隊員がひょいと足を出すと、すみれ隊員の足がそれに引っかかりました。すみれ隊員はうつ伏せに転倒。女神隊員はさらにすみれ隊員の右手を取り、後ろ手に廻し、左ひじを背中に押し付けます。これによってすみれ隊員は身動きができなくなりました。隊長はそれを見て、
「よし、いいぞ!」
「ぐおーっ、こんなものーっ!」
すみれ隊員の身体は拘束されてるにもかかわらず、ぐぐぐーっと隆起し始めました。びっくりする女神隊員。
「ええ?」
隊長は慌てます。
「そいつはメガヒューマノイドだ。そんなもんじゃ拘束できないぞ!」
隊長もすみれ隊員の左腕を絞めあげ、左肩にひざを押し当てます。そして振り返り、寒川隊員を見ました。
「お前も手伝えよ!」
寒川隊員はぼーっとしてましたが、はっとして、
「あ、はい!」
寒川隊員はすみれ隊員の腰のあたりを両手で押さえ、大声で発言。
「静かにするんだ、すみれ!」
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