侵略者を撃つな! 98

 日向隊員の前に突然背の高い針葉樹が現れました。慌てる日向隊員。

「うわっ!」

 針葉樹の枝の先が日向隊員の二の腕に触れました。バシッ!

「ちぃ・・・ こんなところで墜落したら恥ずかしいよ・・・」

 日向隊員は前を飛ぶすみれ隊員を見て、

「あの人、眼も改造されてるんだっけ? だから闇夜でも飛べる、のかな?・・・ くっ、私じゃちょっときついかも・・・ 仕方がないなあ・・・」

 そう、日向隊員の眼はオリジナルのまま、改造されてないのです。ゆえに夜眼が効きません。日向隊員は少し高度を上げました。


 クレイン号コックピット。レーダースコープに反応が。寒川隊員はそれを見て、

「ん?・・・」

 隊長。

「どうした?」

 が、反応はすぐ消えました。寒川隊員は、

「いや、レーダーの誤作動だったようです」

 と応えました。

 今度は隊長が見てた四次元レーダーのレーダースコープに反応がありました。

「む、四次元レーダーに反応きたぞ!」

 寒川隊員が応えます。

「いよいよですね」

「こっちも認識ステルス機能をオンにしよう!」

「了解!」


 クレイン号外観。クレイン号がフッと消えました。びっくりする日向隊員。

「え、消えた? 認識ステルス機能?・・・」

 けど、すみれ隊員は何事もなかったように飛んでます。日向隊員はそれを見て、

「で、でも、すみれさん、ふつーに飛んでる?・・・」

 実はクレイン号は消音モードで飛行してますが、ジェットエンジンを使ってることには変わりありません。すみれ隊員の両耳は義耳。その両耳がクレイン号のかすかなジェットエンジン音を捉えていたのです。その音を頼りに飛んでました。

 それに対して日向隊員は、両耳もオリジナル。常人と同じ耳なのです。クレイン号のジェットエンジンの音を捉えることができません。

「ああ、もうあの人を頼るしかないか・・・」

 日向隊員は引き続きすみれ隊員を尾行しました。


 針葉樹林の上を低空飛行で飛び続ける透明なクレイン号。なお、地上の起伏はほとんどなくなってきました。東の空を見ると、空が明るくなってきました。

 と、針葉樹林が途切れて、ゴルフ場になりました。

 コックピットの寒川隊員が行く手に何かを見つけました。

「ん、あれは?」

 あるホールのグリーン上に複数の人影が見えます。隊長がそれを見て、

「どうやらあれらしいな。よし着陸!」

 寒川隊員が応えます。

「了解!」

 透明なクレイン号が隣りのホールのフェアウェイに着陸。隊長と寒川隊員がクレイン号を降ります。2人は木立を抜け、グリーンに立つ複数の人影を見ました。距離にして400mくらい。隊長は双眼鏡を取り出し、それを利用して人影の数を数え始めました。

「1、2、3・・・ おいおい、全部で10人いるじゃないか。公安7課は日本にいるリンドブルム星人は7人と言ってたが、3人も見逃してたのか?」

 突然10人の頭上に宇宙船が現れました。クレイン号を2周り大きくしたような大きさ。隊長はそれを見て、

「ふ、向こうさんもちょうど到着か。これ以上近づくとこっちの存在を体温で検知されるから、こっから監視することにしよう」

 2人は身を低くしました。

 宇宙船から真下に光が放たれました。その光に包まれ10人全員の身体が浮上し始めました。隊長はそれを見て、

「おいおい、10人全員同時に吸い上げることができるのか? やっぱ向こうの技術はすごいなあ・・・」

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