侵略者を撃つな! 97

 すみれ隊員は格納庫のような巨大な屋内駐車場の木戸のような小さな外開きドアに到達。手にしてたカードキーをタッチパネルにタッチ。カチャッという音。そのままドアを開け、屋内駐車場の中に消えました。日向隊員はそれを目視すると、

「すみれさん、どうするつもりなんだろう?」

 日向隊員もそのドアに向かって駆け始めました。

 ドアはドアクローザーによって自然に閉まりかけてます。完全に閉める寸前、日向隊員が到着。ドアノブを掴み、再びドアを開けました。

 日向隊員はドアのふちに立ち、駐車場の中を見ました。中は暗いですが、いろんな機械のパイロットランプがついてるせいか、完全に真っ暗てわけではありません。

 左からカチャッという音。日向隊員は建物内にちょっと顔を入れ左側を見ると、すみれ隊員が壁の方を見てました。と、すみれ隊員は壁に手を伸ばし、何かを掴みました。

 すみれ隊員は今度はワンボックス車に向かって駆け始めました。そしてスライドドアを開け、車内に入りました。日向隊員がそのワンボックス車に近寄って見てみると、それはすみれ隊員が変身に使うワンボックス車でした。

「え、このクルマ?・・・ すみれさん、変身する気?」

 日向隊員は先ほど飛び去ったクレイン号を思い浮かべました。

「あれだ。クレイン号を追い駆ける気なんだ」

 日向隊員は振り向き、さきほどすみれ隊員が見てた壁を見ました。そこにはキーボックスが掛かってました。扉は開けっ放しです。日向隊員はそこに駆け寄り、キーボックスの中を見ました。そこには1つだけクルマのキーが掛かってました。日向隊員はそのキーを掴みました。

「よーし!」


 先ほどすみれ隊員が消えたワンボックス車のスライドドアが開き、1つの人影が降りてきました。電子の鎧をまとったすみれ隊員です。

 すみれ隊員は駆け出し、先ほどのドアを開け、出て行きました。

 そのドアが閉まると同時に、今度は別のワンボックス車のスライドドアが開きました。降りてきた人影、それは電子の鎧をまとった日向隊員でした。

「いったい何が起きてんか、あの人を追い駆ければきっとわかるはず!」


 夜の山間部を快調に飛ぶクレイン号。かなり低空で飛んでます。

 クレイン号コックピット。ピーピーピーピーと間の長いブザーが鳴ってます。あまりにも低く飛んでるため、対地接近警報装置が反応してるのです。

 操縦席の寒川隊員はスターライトスコープのゴーグルを装備してます。そのゴーグルから見た光景。全体的に緑色ですが、視界は確保してます。

 副操縦席の隊長が操縦席の寒川隊員に話しかけます。

「そうそう、慎重に慎重に。自衛隊やヴィーヴルの宇宙船のレーダーに探知されないよう、なるべく低く飛ぶんだ」

「了解!」

 なお、隊長はゴーグルをしてません。裸眼です。

 と、突然ブザーが短く、かつ大きくなりました。慌てて機首を上げる寒川隊員。

「おっと!」

 クレイン号が山の尾根をぎりぎり越えました。

 隊長は感心した顔を見せました。

「ふふ、なかなかいい腕じゃないか」

 寒川隊員は思いました。

「せっかくだ。ユランさんをちゃんと見送ってあげないと・・・」


 クレイン号外観、低空で飛ぶクレイン号の背後にさらに低空で飛ぶ、メガヒューマノイドに変身したすみれ隊員がいます。

 さらにその背後には、やはりメガヒューマノイドに変身した日向隊員が飛んでます。2人ともヘルメットのバイザーを半分降ろし、眼を保護してます。

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