侵略者を撃つな! 96
副操縦席の隊長が号令を発します。
「ゲートオープン!」
「了解!」
格納庫内。中央にクレイン号が1機格納されてます。ライトが煌々と輝いてます。と、出入り口の引き分けの巨大な扉が開き始めました。整備不良なのか、扉からかなりの異音が出でます。
すみれ隊員の私室。すみれ隊員はベッドに座ったまま、まったく動く気配がありません。服装も隊員服のまま。と、グオーンという重低音が。すみれ隊員ははっとして天井を見上げました。
一方こちらは日向隊員の私室。日向隊員はベッドですやすやと寝てます。衣服はパジャマ。こちらでもグオーンという重低音が鳴り響いてます。日向隊員はふと目覚めました。
「う~ん・・・」
日向隊員ははっとし、半分起き上がると、あたりをキョロキョロ。
「え? 何、この音?」
サイドチェストの上のティーカップがカタカタと音を立ててます。日向隊員はそれに気づいて、
「え、地震?」
日向隊員は天井を見て、
「いや、違う。何か巨大なものが地上で動いてるんだ・・・ なんだろ?」
日向隊員はベッドから降り、自動ドアを開け、部屋を出て行きました。
テレストリアルガード基地内の地下廊下。パジャマのままで歩く日向隊員。と、眼の前の角から1つの人影が現れました。隊員服を着たすみれ隊員です。日向隊員は慌てて物陰に隠れました。
「あ、あれは、すみれさん?・・・」
テレストリアルガード基地外観。格納庫の開け放たれた扉からクレイン号が現れました。クレイン号は反重力エンジンを積んでるお蔭で無音で飛ぶことができますが、地上を走行するときも無音でした。
クレイン号コックピット。隊長が無線機のマイクに呼びかけてまはす。
「上溝、未確認飛行物体の現在位置は?」
テレストリアルガードオペレーションルーム。マイク片手に上溝隊員がレーダースコープを見てます。
「あ~ 北です。北の方角に向かうようです」
クレイン号コックピット。マイクを握る隊長。
「了解!」
隊長は隣の寒川隊員を見ました。
「ユランたちはそれほど遠くには行ってないはずだ。とりあえず通常飛行で北へ行こう!」
「了解!」
「クレイン号、浮上!」
テレストリアルガード基地滑走路。クレイン号が垂直浮上を開始しました。前述の通り反重力エンジンを使ってるので無音です。
これを地上から見ている人影があります。すみれ隊員です。すみれ隊員はテレストリアルガード基地に唯一あるビルの陰からクレイン号を見てました。
すみれ隊員の顔を見ると、かなりきつい眼をしてます。すみれ隊員は数時間前の寒川隊員の発言を思い出してます。
「今朝早く5人は母星に帰ったよ」
そして心の中で発言。
「そんなの、信じるか!」
このすみれ隊員の背後、ちょっと離れた箇所に日向隊員がいます。日向隊員は格納庫の巨大な扉を見ました。扉は閉じてる途中です。かなり異音が出てます。
「さっきのあの音は、あの扉の音だったんだ・・・」
日向隊員は今度は浮上中のクレイン号を見ました。
「こんな真夜中にどこに行くんだろう?・・・」
クレイン号が空中停止。ジェットエンジン始動。クレイン号は今度は水平に動き始めました。
それを確認した地上のすみれ隊員は振り返り、走り出しました。日向隊員はそのすみれ隊員を眼で追いかけます。
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