侵略者を撃つな! 94
寒川隊員の話が始まりました。
「さっきユランさんからメールが来ました!」
「ん、ユラン岡崎から?」
「はい。最初のメールでは、ユランさんは明日朝早く帰ると言ってました!」
「母星にか?」
「はい。ヴィーヴルから迎えが来るそうです!」
サングラスの男性(公安7課の刑事)の話だと、ユラン岡崎ら日本で暮らしてるリンドブルム星人7人全員が現在行方不明になってるとか。公安7課は何か不穏な動きとみてますが、隊長はそれを母星に帰る準備とみなしました。隊長の推理は正解だったようです。
隊長は質問を続けます。
「今最初のメールと言ったな」
「はい。たった今2通目が来ました。その迎えの宇宙船は、認識ステルス機能を作動させて来るそうです」
「つまり、認識ステルス機能を感知する四次元レーダーに細工してくれと?」
「はい。けど、そんなことムリですよね、絶体・・・」
「それで全部オレに打ち明けることにしたのか?」
「はい!」
隊長は視線をずらし、ちょっと考え、再び寒川隊員を見ました。
「ふ、わかった。ちょっと考えてやるか」
寒川隊員は安心した顔を見せました。隊長は言葉を続けます。
「でもなあ・・・」
隊長は少し考え、再び発言。
「すみれの父親が殺されたことは知ってるよな」
「ええ、隊長が教えてくれたじゃないですか」
「ふ、そうだな。
犯人はリンドブルム星人なんだそうな」
寒川隊員はびっくり。
「ええ、まさか犯人はユランさん?」
「その可能性は1/5。さっきまでここにいた公安7課の捜査員によると、今日本には7人のリンドブルム星人がいるんだそうだ。内2人は公安7課がアリバイを証明してる。残るは5人。この5人の中に犯人がいるらしい。実はその5人の中にユラン岡崎もいるんだ。
公安7課は5人から事情聴取する気でいるようだな。5人の行方を追ってると言ってたな」
寒川隊員は一瞬黙り込みました。が、すぐに口を開き、
「隊長、見逃すことはできないんですか?」
「ふっ、そうだな。オレたちゃ警察じゃないんだ」
「え、それじゃ?・・・」
「オレは見逃す気でいる」
寒川隊員は安堵の顔を見せました。隊長は話を続けます。
「だがなぁ・・・ 宇宙から侵略してくる宇宙人を監視することが、オレたちテレストリアルガードの使命だ。リンドブルム星人がこの星を出るまで監視し続けないといけないんじゃないか?」
「公安7課にはなんて説明を?」
「なんにも」
「え、公安7課に何も説明しなくてもいいんですか?」
「ふ、構わんさ。やつらだってオレたちに何か隠してるんだからな。お互いさまだ」
寒川隊員は苦笑い。
「あは、わかりました。隊長の用件はこれだけですか?」
「いや、まだあるよ。実はな・・・ 自分の父親が殺されたと聞いて、すみれの態度が急に変わったんだよ」
「え?」
「スイッチが入ったと言うか、感情が急に豊かになって、よくしゃべるようになったんだ」
「ええ、ずーっとしゃべらなかったすみれが?」
「ああ、すべての記憶を取り戻したようだ。本来なら喜ばなくっちゃいけないとこだが、何か変な副作用が出るような気がしてならないんだ・・・ どうする、寒川?」
寒川隊員は少し考え、
「ちょっとすみれと話をしてみます」
寒川隊員は立ち上がりました。
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