侵略者を撃つな! 93
すみれが最初の通りのビルの角を曲がったときのことです。いきなり街にサイレンが鳴り響きました。突然の出来事にすみれは何が起きてるのかまったく理解できてません。が、
「空襲警報! 空襲警報! みなさんにお知らせします! 現在水素核融合弾と思われる飛翔体が地球に向かって多数飛来してます。市民のみなさんはただちに核シェルターに避難してください!」
この緊急広報ですべてを察しました。で、避難するのかと思いきや、
「お父さーん!」
と叫びながら駆け出しました。なんと父親を捜し始めたのです。
街行く人の大半は核シェルターに急いでますが、中にはどうせミサイルは落ちて来ないと思ってるのか、普段通り歩いてる人もいます。その中を、
「お父さーん! どこにいるのーっ?」
すみれは父親を捜し廻ります。けど、ぜんぜん見つかりません。
と、すみれは先ほど父親からもらった名刺を思い出しました。
「そうだ!」
すみれは名刺を取り出し、自分のスマホでその名刺に書かれた電話番号に電話をかけてみました。が、
「ただいま電話に出ることができません」
という音声。すみれは焦ります。
「え?」
すみれはあらためて考えました。核シェルターの中に電波が入るはずがありません。父親はすでに核シェルターの中に避難してるという証拠・・・ そう判断すると、すみれは自分も核シェルターに避難することにしました。
すみれはピクトグラムを辿りながら核シェルターに向かいました。あるビルの地下に通じる避難階段を降りてると、なぜか昇って来る人が何人かいました。すみれは不審に思うと、その中の1人に質問しました。
「何があったんですか?」
「ここはもう満杯らしい! 扉が閉まってるんだ!」
「え?」
すみれもすぐに引き返しました。
すみれは別の核シェルターに行きました。が、ここもすでにぶ厚い扉が閉まってました。その次の核シェルターも扉が閉まってました。すみれは唖然とするしかありませんでした。
この街の核シェルターは足りてないのでしょうか? いや、十分足りてました。実はほとんどの核シェルターは、先に逃げた人が今すぐミサイルが飛んでくると思い、まだ半分も人が入ってないというのに、勝手に扉を閉めてしまったのです。
駆けるすみれ。焦るすみれ。どこかに、どこかに逃げないと・・・
すみれはとりあえず地下街に逃げることにしました。地上から地下街へ通じるエスカレートを大急ぎで駆け降ります。が、そのとき、すみれの背後で何かがピカッと光りました。
グヴァーン! すさまじい風圧が襲ってきました。
「きゃーっ!」
すみれの身体は木の葉のように宙を舞いました。
現在、テレストリアルガード基地サブオペレーションルームの隊長は、すみれ隊員を見て、
「それで君は瀕死の重傷を負ったのか?」
すみれ隊員はちょっと考え、
「すみません・・・」
すみれ隊員は自動ドアを開け、退室しました。隊長はあっちの方向に視線を向けました。
それから数分後、サブオペレーションルームの自動ドアが再び開き、寒川隊員が入ってきました。
「隊長、ご報告です!」
隊長はイスに座って浮かない顔をしてます。寒川隊員はそれを見て、
「あれ、隊長、どうしたんですか、浮かない顔をして?」
「まあな。君と話をしないといけなくなったようだ」
「え?」
「ふ、まあ、いい。君の話から先に聞こっか」
「はい!」
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