侵略者を撃つな! 90
サングラスの男性は5枚の写真を取り出し、それをテーブルの上に並べました。写真にはそれぞれ1人の男性が写ってます。
「これがその5人です」
隊長はその中にユラン岡崎を発見しました。変装してないユラン岡崎です。隊長は思わず心の中でつぶやきました。
「ふ、ユラン岡崎、やっぱいたか・・・」
隊長はふと横目ですみれ隊員を見ました。すみれ隊員は写真に反応してません。当たり前です。すみれ隊員は変装してないユラン岡崎を見たことがないのです。
隊長は以前寒川隊員に見せた、変装してないユラン岡崎が映った映像を思い浮かべました。
「ふ、あの映像をすみれに見せておかなくって正解だったな」
隊長は写真に写ったユラン岡崎をもう1度見て、さらにサングラスの男性の顔を見て、再び思いました。
「頼むからユラン岡崎て名前は出さないでくれよ。ややこしいことになるから」
隊長は今度はサングラスの男性に質問しました。
「DNA鑑定で犯人の目星がつくんじゃないですか?」
「いや、捜査1課が採取したDNA型ではリンドブルム星人てところまではわかったのですが、それ以上の情報は得られませんでした」
サングラスの男性は彼が並べた写真5枚を見て、
「実はこの5人とコンタクトを取ろうとしたのですが・・・ 今朝から行方不明になってるんですよ」
「え、5人とも?」
「そればかりか、我々がアリバイを証明した2人も、どこかに消えてしまいました」
「じゃ、現在7人とも行方不明?」
「はい。この7人、何かよからぬことを企ててるかもしれません」
しかし、隊長は心当たりがありました。ユラン岡崎たちリンドブルム星人は、母星を救うため、近々地球を離れる予定になってます。7人はその準備に入ったんじゃないか? いや、もう地球を離れてるかも?
けど、このことはサングラスの男性には話さないでおいた方が得策のようです。
サングラスの男性の言葉が続きます。
「お2人に質問します」
サングラスの男性はユラン岡崎が写った写真を手にし、それを隊長に見せました。
「この男をご存じですよね」
隊長はここでウソは言えません。ストレートに応えることにしました。
「はい」
「この男がどこに行ったのか、知ってますか?」
「さあ、皆目・・・」
サングラスの男性は、今度はすみれ隊員を見ました。
「あなたは?」
隊長が2人に割って入るように応えます。
「黒部隊員は先ほどまで入院してました。今その男がどこにいるのか、わかるはずがありません」
「そうですか・・・
寒川隊員もこの人を知ってますよね」
隊長は立ち上がり、
「訊いてみましょう!」
隊長は壁に造り付けたテーブルの上の固定電話の受話器を掴みました。ダイヤルのボタンを押す隊長の指。鳴る呼出し音。けど、寒川隊員はなかなか電話に出ません。当たり前です。この基地には約50室ほどのプライベートルームがあるのですが、隊長はその中の今は使われてない部屋に電話をかけていたのです。
隊長はこのサングラスの男性と寒川隊員を会わせない方がいいと判断し、一芝居打ったのです。
隊長は受話器を電話に置きました。そしてサングラスの男性に振り返り、
「電話に出ませんねぇ。何か他の仕事してるのかも? あとで聞いておきますよ」
「そうですか」
サングラスの男性は5枚の写真をまとめると、立ち上がりました。
「それでは、私はこれで」
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