侵略者を撃つな! 86
隊長は思い出しました。海老名隊員は自分を好いていた。なのにあのときの自分は、すみれの方ばかり見てた。だからすみれに意地悪な行為ばかりしてた。
今度はすみれが日向に意地悪する番なのか? 女の嫉妬心は怖いものだな。
ワンボックス車のスライドドアが開き、中から日向隊員が出てきました。いつもの隊員服に着替えてます。隊長は日向隊員の隊員服を見て、
「うん、2分で出てきたな。うまく隊員服を着られるようになったじゃないか」
日向隊員はニコッとした顔を見せ、
「これくらい1人で着れないと、あとあと困りますから」
「あは、そっか」
隊長も微笑みました。
もう1台のワンボックス車のスライドドアが開き、今度は隊員服に着替えたすみれ隊員が出てきました。隊長はそれを見て、
「すみれも着替え終わったな。じゃ、帰るとするか」
隊長がクレイン号に向かって歩き始めました。ほかのテレストリアルガードのメンバーも隊長に続きます。が、隊長ははっとして歩みを止めました。隊長が振り向くと、すみれ隊員がワンボックス車の前で立ったままになってました。困惑する隊長。
「お、おい、すみれ、行くぞ!」
寒川隊員が小走りですみれ隊員に駆け寄ります。
「どうしたんだよ、すみれ?」
「私、もっと飛びたい」
「ええ・・・」
寒川隊員は困ったという顔を見せました。なるべく早く帰って歌わせたいところなのに・・・
一方隊長はこう考えてました。せっかくだ。もう少し飛ばしてやるか・・・
と、ここで隊長の胸のスマホが振動を始めました。
「ん?」
隊長はそのスマホに話しかけました。電話です。
「もしもし」
すると無線機から、こんなセリフが。
「ケイフェイ」
それは警視庁公安7課が使ってる暗号。「今から重要な話をする。周囲に聴こえないよう、注意されたし」という意味があります。隊長は無線機に話しかけます。
「はい、こちら香川。問題ありません。話を続けてください」
無線機から。
「今からそちらの基地にお伺いします」
「わかりました。現在当方は外出してますが、30分以内に帰投します」
「わかりました。訪問の目的は黒部すみれ隊員です」
驚きの隊長。
「え?」
「彼女を同席させてください。以上」
スマホの電話が切れました。隊長は考えます。
「すみれに用事? いったい?・・・」
隊長はすみれ隊員を見て、今度は声を出しました。
「すみれ、悪いがお前に会いたいて人から連絡があった。今すぐ基地に来るらしい。帰るぞ!」
それを聞いた寒川隊員は疑念を抱きました。
「え、誰?・・・」
一方すみれ隊員は不機嫌な顔になりました。すみれ隊員は脳に大ケガを負ってて、そのせいで精神が希薄になってます。それでも不満が伝わってくるほどの大きな意思表示。南原主幹はそれを見て考えます。
「う~ん・・・」
南原主幹は2台のワンボックス車を見て、
「じゃ、香川さん、こうしましょう。この2台、基地に持って帰ってください」
「ん? うちの基地で飛行訓練しろと?」
「はい」
隊長はちょっと考え、そして微笑んだ顔を見せました。
「ふ、わかりました。その2台、お預かりしましょう!」
さっそくクレイン号のお尻の巨大なゲートが開き、そこに2台のワンボックス車が積み込まれました。ゲートが閉まり、クレイン号、浮上開始。
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