侵略者を撃つな! 76

 シートベルトの中、日向隊員は眠りこけてました。隊長はその日向隊員を見て、

「ふ、もう寝ちまったか。今日はいろいろとあったから、疲れたんだろうな・・・」

 隊長は女神隊員を見て、

「あんた、この、どう思う?」

「さあ・・・ やっぱクラスメイトをイジメて殺したって、重罪ですよね」

「まあな・・・ でも、このにはどうしても働いてもらわないと困るんだ、テレストリアルガードとしては・・・」

 隊長は振り返り、倉見隊員の方を見て、再び女神隊員を見ました。ここから隊長の発言は小声になります。

「あんたも聞いたろ。えびちゃんの最後の予言を」

 女神隊員の声も小声に。

「ええ、また宇宙人が攻めて来ると」

「ああ。えびちゃんはすみれを戦場に連れていかなければ、地球はテレストリアルガードによって守られると言ってたな。けど、今のテレストリアルガードの戦力じゃ、宇宙人から地球を守る力は足りないと思うんだ。すみれも最前線に連れていかないといけないんじゃないか?」

 隊長は日向隊員の寝顔を見ました。

「えびちゃんは空飛ぶスーパーヒーローによって地球は救われると言ってたな。なんかそのスーパーヒーローは、こののような気がしてきたんだ」

「え? 空飛ぶヒーローかヒロインは巨人になると言ってましたよね、たしか・・・」

「あは、そうだな。でも、あいつの予言は100%的中してるようで、実際細かな部分はハズレが多いんだ。空飛ぶ巨大ヒーローじゃなく、空飛ぶ等身大ヒーローもしれないぞ」

「ふふ」

 女神隊員は含み笑い。と、今度は女神隊員が日向隊員の寝顔を見ました。

「しかし、今日は驚きましたねぇ。この、まさか首がはずれるなんて。しかもその首が自由に飛ぶなんて」

「あは、生首を見たのは初めてか?」

「はい。隊長は見たことあるんですか?」

「あはは、あるわけないだろ」

「あははは」

 2人は笑いました。が、2人はすぐにすやすやと眠ってる日向隊員に気づきました。隊長。

「おっといけない」

 隊長は再び日向隊員の顔を見て、

「ともかく、オレたちでこのを矯正してやらんとな・・・」


 翌日、ここはテレストリアルガード基地。隊長が教科書の山を抱えて地下の廊下を歩いてます。と、ある自動ドアの前に立ち止まりました。

「おーい、日向! 開けてくれ!」

 ドアの中から返事。

「はーい!」

 片引きの自動ドアがすーっと開きました。そこには首のない少女が立ってました。その首は少女の胸の前で両手で保持されてました。日向隊員が首をはずして、それを胸の前で持っていたのです。隊長はちょっとおかんむり。

「お前、それやめろって言ったろ! わかってても気持ち悪いぞ、ほんと!」

「てへっ」

 日向隊員は自分の胴体にカチッとはめ込みました。隊長。

「教科書持ってきたぞ」

 日向隊員の顔はとたんに不機嫌に。

「ええ~」

「テレストリアルガードの隊員になったとはいえ、お前、まだ小6だろ。勉強しなくっちゃいけない年じゃないのか?」

 隊長は勝手に室内に入ってきました。そして机の上に教科書を置きました。

「ここに置くぞ」

 日向隊員が隊長に質問しました。

「あの~ 私、いつになったら学校に行けるんですか?」

「復帰にはリハビリを含め6ケ月かかると言ったんだよ、南原が、あんたの改造手術が始まったときに。なのに、実際は1ケ月もしないうちに社会復帰したろ。そのせいで小学校の入学手続き・・・ いや、この場合は転校手続きかな? それをしてなかったんだよ。悪いが中学入学までは自習だな」

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