侵略者を撃つな! 73
日向隊員は「はぁーっ」とため息。女神隊員がそれに気づき、不思議に思い、質問しました。
「ん、どうしたの?」
「上溝さんも寒川さんも来てくれませんでした・・・」
日向隊員は女神隊員を見て、
「女神さんは来てくれたんですね。ありがとうございます」
女神隊員はちょっと考え、
「ほんとうのことを言うと、私も来る気がなかった」
日向隊員はびっくり。
「え?」
「どんな事情があろうと、クラスメイトをイジメて自殺に追い込んだあなたとは、仲良くなりたくないな」
その言葉に日向隊員はショックを受けました。女神隊員は言葉を続けます。
「でも、あなたと私には、不思議な共通点があるのよ。
私が乗ってた宇宙船は、コントロールを失ってこの星に墜落した。生き残ったのは私1人だけだった」
「え、じゃ、私と同じ?・・・」
女神隊員はうなづき、
「同じ奇跡の生き残り同士、仲良くできるかもね」
けど、日向隊員はここで当時のニュースを思い出しました。女神さんが乗ってた宇宙船はテレストリアルガードに攻撃され、地球に墜落した。そのとき女神さんの同胞がたくさん死んだ。そのとき生き残った乗組員は、女神さん1人だけだった・・・
なのに女神さんは今、そのテレストリアルガードにいる。きっと複雑な感情があるんだろうなあ。テレストリアルガードをせん滅したいくらい憎んでるはずなのに・・・
起伏の激しい草原の中にあって珍しく平坦になってる場所にクレイン号が着陸しました。ワンテンポ置いてクレイン号の腹の下に淡い円筒形の光が発生。その中に複数の人影が現れました。淡い光が消えると、それは隊長たち一行でした。
隊長たちの眼の前に1つの人影がありました。白衣を着た南原主幹です。
「香川隊長、どうも」
南原主幹は手を水平にあげました。握手を求めたようです。
「あは、南原さん、どうも」
2人は固く握手。南原主幹は次に日向隊員を見ました。
「じゃ、さっそくメガヒューマノイドに変身しよっか」
南原主幹が草原の中に駐車してある大型のワンボックス車を見ました。
「あそこにワンボックス車が駐まってるだろ」
日向隊員は応えます。
「はい」
「あの中で変身するんだ」
南原主幹はワンボックス車の前に立ってる女性研究員を見て、
「あの女の人が変身の仕方を教えてくれるよ。本当は自分が教えるべきなんだろうけど、何分自分は男だからな。あの人に教えてもらった方がいいだろう」
「はい、わかりました!」
日向隊員はワンボックス車に走って行きました。そして女性研究員にあいさつ。2・3会話して、ワンボックス車に乗り込みました。
と、1分もしないうちにワンボックス車のスライドドアが開きました。そこには電子の鎧をまとった少女が。そう、日向隊員です。電子の鎧のデザインは海老名隊員の時代から変わってませんが、色が大幅に変わってます。前は全身真っ赤でしたが、今回は白と青を基調にしてます。
日向隊員は電子の甲冑に覆われた自分の腕や胸を見回しました。
「あはは、すごーい!」
感嘆の声。日向隊員のさっきまでの憂鬱な雰囲気は完全になくなってました。
女神隊員も変身した日向隊員を見て感心してます。
「1分もしないうちにあんなものを身に纏っちゃうなんて・・・」
隊長がそれに応えるようにつぶやきます。
「専用のドレッシングルームを使えば、1秒で着脱できるんだったな、たしか」
南原主幹が応えます。
「ええ、その通り」
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