侵略者を撃つな! 74

 今度は南原主幹が隊長に質問。

「どうです、香川隊長?」

「なかなか洗練された色になったじゃないか。前の色よりこっちの色の方がずーっといいよ!」

「あは、そうですか。ま、アーマーのデザインは、どこも変わってないんですけどね」

 南原主幹は今度は日向隊員に呼びかけます。

「じゃ、日向、浮上してみろ!」

「はい!」

 日向隊員の背中からエアジェットエンジンのノズルが2基飛び出し、点火。さらに両二の腕・両太もも・両すねのハッチが開き、姿勢制御用エアジェットエンジンのノズルが現れ、これも点火。そのままゆっくりと上昇を始めます。日向隊員は楽しそう。

「あは」

 南原主幹が再び呼びかけます。

「よーし、飛んでみろ!」

「はい!」

 日向隊員の背中のエアジェットエンジンの炎がグワッと大きくなりました。日向隊員はヘルメットのシールドを半分降ろし眼を保護すると、ものすごいスピードで飛び始めました。隊長はそれを見て、

「ふわっ、やっぱものすごいスピードじゃないか!」

「でも、あのスピードと急加速が日向くんの生身の部分にどんな悪影響を及ぼすのかまだなんとも言えない状況なんですよ。だから今は時速800kmに押さえてあります」

「通常なら最高速度はマッハ2.5でしたっけ?」

「あは、それは前の主幹さんのときの性能ですね。あれから性能が上がってて、今はマッハ5ですよ」

 感心する隊長。

「ほーっ・・・」

「ま、今のところは机上の計算ですがね」

 隊長は質問を変えます。

「ところで、すみれ・・・ 黒部隊員の方は今どうなってるんだ?」

「あは、改造を始めてまだ3日目ですよ。あと2・3日は待ってください」

 隊長はちょっと残念そう。

「そっか・・・」

「黒部くんは肉体の部分が少ないし、今回の日向くんのデータもあるから、最初からマッハ5で行けるかもしれませんよ」

 隊長はその言葉にはあまり興味がないようです。ともかく寒川隊員のためにも、一刻も早く帰ってきて欲しい。そう願う隊長でした。


「よし、今日はここまでにしよう!」

「はい!」

 南原主幹の呼びかけに空中の日向隊員が応えました。日向隊員は両腕・両脚の姿勢制御用エアジェットエンジンを使って、降下し始めます。そのままゆっくり地面に着地。待ち構えていた南原主幹が話しかけます。

「どうだった?」

「もう最高ですよ。こんなに気分がいいなんて!」

「あは、そっか。実は今日は別のシステムの実験もしようと思うんだ。こっちはエアジェットエンジンよりもっとすごいぞ。

 ちょっと首をはずしてくれないか?」

「はい」

 と言うと、日向隊員は両手で自分の首を挟み込むように持ちました。それを見て隊長は慌てます。

「お、おい、ちょっと待って!」

 が、ガチャッ、日向隊員は自分の首をはずしてしまいました。実は隊長は日向隊員の首がはずれることは仲間内にも秘密にしておきたかったようです。が、女神隊員と倉見隊員の眼の前ではずしてしまいました。眼を覆う隊長。

「あちゃ~!・・・」

 女神隊員と倉見隊員はびっくり。

「ええ?・・・」

 日向隊員は自分の首を両手で持って、南原主幹に突き出しました。

「はい」

「ありがと」

 南原主幹は首を受け取ると、切断面を前に小脇に抱えました。

「ちょっときついけど、我慢しててね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る