侵略者を撃つな! 69
ついに飛行機移動開始。滑走路をものすごい加速でランディング。一気にテイクオフ。
機内。窓の外、地上の街並みがあっという間に小さくなっていきます。それを見ている金目ひなたはちょっと安心。でも、この飛行機に自称ユーチューバーが乗ってる可能性は十分あります。まだ安心できません。
けど、金目ひなたは疲れてました。むりもありません。昨夜は弟のことで眠れず、今朝は3時に起こされてます。疲労困ぱい。いつの間にか眠ってしまいました。
「お、お客様、ここから先はファーストクラスです。立ち入らないでいただきますか?
きゃっ!」
ガタッ。何かが倒れる音。これらの異音で金目ひなたははっとして目を開けました。すると眼の前には2人の見知らぬ男の顔が。2人ともサングラスをかけています。男の1人が口を開きました。
「おはよう!」
金目ひなたは何が起きてるのかいまいちわかりません。が、男の1人が構えてるゴープロのようなカメラ、これを見てすべてを理解しました。そして悲鳴。
「きゃーっ!」
金目ひなたはカーテンを手にしました。閉める気です。が、男の1人がその手を握りました。
「おおっと~ そうはさせないよ~!」
男はニヤッと笑いました。気持ち悪い笑い。金目ひなたは反射的に叫びました。
「お父さーん!」
父親は通路を挟んで反対側、つまり2人の男の後ろにいるはずです。が、そこのカーテンは閉まったまま。反応がまったくありません。金目ひなたは再び叫びます。
「お父さーん!」
けど、やはり何も変化ありません。金目ひなたは愕然としてしまいました。お父さんはやっぱり私に興味がなくなったんだ。もう私を守ってくれる人は誰もいないんだ・・・
2人の男は笑います。
「おいおい、お父さんはどこに行ったんだよ? ええ?
じゃ1つ、いいことを教えてやるよ。
実は3時間前にお前ら3人がこの飛行機のファーストクラスの切符を偽名で入手したと善意の投稿があってな。ふふ、どこにでも善意ていうものはあるもんだ。そこでオレたちユーチューバーはこの飛行機に乗ることにしたんだ。
と言っても、その時点でファーストクラスは満席。そこでみんなで話し合ったんだ。10人くらいがエコノミークラスに乗り込み、離陸後15分でいっせいに騒動を起こす。警備員の眼がそっちに集中してる間にビジネスクラスに乗り込んだオレたちがここに侵入。そしたら、ビンゴ、あんたがここにいたっていうわけだ」
金目ひなたは茫然とした顔でただただその発言を聞いてるだけ。と、ここに、
「おい、お前らーっ!」
の声。2人の男が声がした方向を見ると、3人が駆け付けてくるところでした。1人は副機長、2人は警備員です。副機長。
「ここはファーストクラスエリアだ。お前らの来るところじゃないぞ! 元の席に戻れ!」
「嫌だね」
もう1人の男。
「オレたちゃこの世紀の大悪党金目ひなたの国外逃亡を実況する責務があるんだ」
副機長。
「ふざけんな! 近くの飛行場に着陸してお前ら全員機外に放り出すぞ!」
「ふふ、ちょうどいい。この飛行機、Wi-Fiの容量が狭くってなあ。実況したくてもできないんだ」
男はもう1人の男が小脇に抱えてるボストンバックを見ます。カメラから出ているコードは、このバックの中身とつながってました。
「だから今録画中なんだ。この映像を一刻も早くユーチューブにあげたくってね、着陸してくれるとほんと助かるよ」
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