侵略者を撃つな! 67
3人が応えます。
「みりゃわかるだろ。ユーチューバーだよ!」
「世紀の大悪党金目ひなたが日本からとん走するところを実況中継するんだよ!」
「便利な世界になったなあ。おまえらがこの飛行機の切符を手に入れたとネットの掲示板に書き込みがあったんだよ」
「それで慌ててこの飛行機に乗ったら、ビンゴ! お前らを発見したってわけさ」
父親は何か言おうとしましたが、その直前、1人の女性CAが飛んできました。
「あの~ すみません。離陸するまで電子機器の使用はお控えください!」
いぶかる3人組。
「はあ? 何言ってんだ、お前?」
CAが質問します。
「だいたいお客様たちは、ビジネスクラスのチケットをお持ちなんですか?」
「さあね」
「オレたちはこいつらが日本から脱出するシーンを生中継する責務を負ってるんだ!」
「そうだ! 日本は報道の自由が保障されてる国だ! 報道の自由の前ではビジネスとかエコノミーとかいっさい関係ないんだ!」
CAも食い下がります。
「困ります! 本来の席にお戻りください!」
この会話をしらけた眼で見てるほかの乗客たち。そして金目ひなたの父親。
3人の男も反論します。
「嫌だね」
「おまえんとこの社長をここに連れて来な! 社長がここで土下座したら考えてやるよ!」
CAは困ったという顔を見せました。そこに男性乗務員が飛んできました。服装からして副機長のようです。副機長と女性CAが会話した直後、副機長が男3人を見ました。
「お客様、わがままは困ります!」
しかし、3人は呆れたって顔を見せ、こう言いました。
「はあ、何生意気なこと言ってんだ、こいつ?」
副機長は男からノートパソコンを奪い取りました。
「ともかくこれはやめてくれ! こいつの電源が入ってると、飛行機は飛ぶことができないんだ!」
男の顔が突然険しくなりました。反射的に手を伸ばし、ノートパソコンを奪い返そうとします。
「おい、ちょっと待てよ!」
副機長は身をよじってその手を交わします。
「ダメだ!」
が、この瞬間、副機長の脚がもつれます。
「うわっ・・・」
副機長が後方に倒れます。その瞬間ノートパソコンが副機長の手から離れ、宙を舞い、イスに座ってた女性乗客の顔面にヒット。女性乗客は悲鳴をあげます。
「きゃーっ!」
女性の隣りに座ってた夫が慌てます。ちなみに、この2人は新婚旅行中の夫婦です。
「お、おい、大丈夫か?」
夫は立ち上がり、3人に、
「お前ら、何するんだ!」
男たちは通路に倒れてる副機長を見て、
「はぁ? 悪いのはそこの男だろ!」
「ふざけんな!」
夫は副機長を押し倒した(ように見えた)男の顔面を殴ります。これはかなり強烈。殴られた男は両掌で顔を覆います。
「ぐわーっ!」
「何しやがる!」
他の2人が夫に殴りかかります。とたんに狭い機内は阿鼻叫喚状態。すぐに空港警察署の警官が多数乗り込み、3人の身柄確保。が、確保されても3人は暴れます。
「何するんじゃ!」
「悪いのは向こうだろ!」
「こっちは報道の自由を行使してただけなんだぞっ!」
連行されていく3人。それでも暴言は止まりません。
「くそーっ、善良な一般市民にこんなことしていいのかよ!」
「あ~ 気分が悪~い! 覚えてろよ、金目ひなた! 一生付きまとってやるからなっ!」
その発言に金目ひなたは寒気を感じました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます