侵略者を撃つな! 57
プッ! プッ! プーッ! 父親は思いっきりクラクションを鳴らしました。そのまま人だかりに突っ込んで行きます。父親はクラクションで人だかりは避けると思ってましたが、逆にクルマに寄ってきてしまいました。
クルマは完全に人ごみに囲まれてしまいました。マイクを握るテレビ局の女性リポーター。
「金目さん、あの映像に映ってる少女は、あなたの娘さんですよね!?」
ゴープロを持ってる男が叫びます。
「おらーっ! 金目ひなた、出て来ーい!」
さらに、
「殺すぞ、金目ひなた!」
「金目ひなた、レイプしてやる! みんなで輪姦してやるぞーっ!」」
その罵詈雑言に金目ひなたは恐怖を感じました。さらに金目ひなたのすぐそばのドアから「バーン」というすさまじい音が。誰かがドアを蹴飛ばしたようです。
「殺される・・・」
金目ひなたはマジにびびりました。
クルマが車庫に入りました。テレビ局のカメラクルーはさすがに車庫に入ってきませんが、一般人が数人侵入してきました。それを3人の警備員が押し返します。
「おらっ! どけよ!」
「報道の自由だろ!」
飛び交う怒号。3人の警備員が押し返した頃合いを見計らって、父親がクルマのドアを開けました。それを見てやじ馬たちが騒めきます。
「こらーっ! 金目ーっ! 責任取れよーっ!」
「死ねーっ、死んじまえーっ!」
それらの怒号を無視するように父親は手動シャッターを一気に降ろしました。そしてジャケットからスマホを取り出し、電話。
「あ、もしもし、金目だ・・・ おい、なんで警備員が3人しかいないんだ?」
電話から。
「い、いくらなんでもいきなり電話をかけてきてありったけの警備員をよこせと言われても・・・」
「ともかく、警備員をじゃんじゃんよこしてくれ。金はいくらでも出す! 同業他社に頼んでもいいから! ああ、頼む!・・・」
この電話の最中、金目ひなたはドアを開け、車外に出ました。そのドアのど真ん中に靴跡がくっきりとスタンプされてました。門の中に入るだけでこれほどの命の危険を感じるなんて・・・ 金目ひなたは愕然としました。
父親は再びスマホで電話。
「あ、もしもし・・・ 警視総監ですか? 私です! 金目です! 直接の電話、失礼します! たった今私のクルマが傷つけられました。ただちに捜査員をよこしてください! ええ~ 蹴飛ばされたんですよ! お願いします!」
電話を切ると父親は、金目ひなたを見ました。
「行くぞ!」
ここは金目家、リビング。雨戸がすべて締まっており、そのせいで照明が煌々と光ってます。金目ひなたが部屋に入ってくると、心配顔の母親が待ち受けてました。
「あなた、いったい何をしたの!?」
金目ひなたは応えません。今度は父親の質問。
「黙ってちゃわからんよ! 何をしたのか、言ってくれ!」
金目ひなたは黙ったまま。父親の質問が続きます。
「あの少女が言ってることはほんとうなのか? 山際怜子という少女から毎日毎日5,000円恐喝してたのか?」
金目ひなたは重苦しく口を開きました。
「だって・・・ だってあいつの家、障害者がいるっていう理由で国からたくさんお金をもらってるんだよ。こんなことってありなの?」
それを聞いて父親は愕然としました。
「そ、そんな理由で・・・」
「お父さん、税金が高い、苦しいて毎日言ってたから・・・ お父さんからむしり取った税金があいつの家に廻ってるなんて、私、絶体許せなかった・・・」
父親はついに激怒。
「それとこれとは話が別だろ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます