侵略者を撃つな! 56
「山際さんは毎日毎日あの4人組に5,000円
このままじゃ山際んは浮かばれません! 私は真実を伝えるため、この映像を公開しました!」
金目ひなたはその声を聞いてぽつりと言いました。
「真田
そう、この少女は真田
「小学生が毎日5,000円用意するなんて絶体不可能です。山際さんは2日前ついに5,000円払えなくなってしまいました。するとあの女は山際さんを素っ裸にしてイジメました。それがあの映像なのです。
あんなイジメを受けたら誰だって絶望してしまいます。山際さんはその日の夜自殺してしまいました。
私、あの女が許せない! 絶対許せない!」
今度は大人の女性の発言。相変わらず顔は映さない、声は加工してありますが、この女性は真田
「悪いヤツはこいつだけじゃありませんよ! これを聞いてください!」
映像は母親の手に握られてるスマホを捉えました。そこから流れる音声。
「(ピー)、お前、内申書て知ってるか? 今のお前の発言は内申書に響くぞ。黙っておけ。先生はお前の人生をバラ色にすることもできれば、壊すこともできるんだぞ。
そういや、お前には小3と小1に弟がいたな。弟たちの未来を少しは考えてやったらどうだ?」
ちなみに、ピーの部分は真田という固有名詞が入ってます。テレビ局が音声を加工したようです。
母親の声。
「これはうちの娘の担任の発言ですよ! 信じられます? 担任ですよ! 担任! 担任がうちの娘を脅迫してきたんですよ! あいつをを守るために!
ほんとうにここは小学校なんですか? いったい何を教えてる小学校なんですか?」
今度は男性の声。この人も加工された声だけですが、真田
「映像の中の悪ガキのリーダーは高級官僚の娘です。高級官僚の娘だから何をしても許されるんですよ! こんなバカなことがありますか!?」
金目ひなたは横目で父親を見ました。父親は黙々とハンドルを握ってます。公立の小学校に通う高級官僚の娘なんて、そんなにいるはずがありません。もう自分だと気づかれてるかも? もし自分だと気づいていたら、お父さんは・・・
ああ、広川雫にあんな映像を撮らせるんじゃなかった・・・ 金目ひなたは反省しきり。けど、反省する方向が間違ってますよね。
現在アッパーミドルクラスのクルマは高級住宅街の中を走ってます。今路地を曲がりました。するとある家の門の前に人だかりができてます。父親はそれを見て、
「ちっ、もう・・・」
人だかりができてる家は金目ひなたの家。その前にいる人の何人かはマイクを握ってます。テレビカメラもあります。そう、これはテレビ局のクルーです。また、ゴープロ等のカメラを持つ人や、何も持ってない人も多数います。警備員の姿も見えますが、3人くらい。これでは50人以上の人々を捌くことはできません。
テレビ局の女性リポーターの1人がクルマに気づき、持っていたマイクに、
「あ、今1台の高級車が現れました!」
車中、父親が金目ひなたを横目で見て、
「頭を引っ込めろ!」
金目ひなたはきょとん。
「え?」
父親の声は怒鳴り声に変化。
「頭を引っ込めろと言ってんだよ!」
金目ひなたはやっと理解したようです。
「あ、はい!」
金目ひなたは慌てて頭を引っ込めました。
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