侵略者を撃つな! 53

 広川雫の話が続いてます。

「でも、変わっちゃったんだ、あの山際れいちゃんをカツアゲするようになったんだ。私はそれを手伝ってしまった。私も同罪。せめてこれを公開して、何があったのか、みんなに教えないと・・・

 けど、これを公開したら、私、ひなたたちの友達じゃなくなっちゃうよね。またひとりぼっちになったゃう。それが怖いんだ・・・」

「私と友達になりたいの?」

 その真田希望のぞみの質問に広川雫はうなずきました。Yesの意思表示です。

「ふざけないでよ! なんであなたなんかと!」

 真田希望のぞみはこう怒鳴ろうとしました。が、ぐっと押さえました。今はそのスマホをなんとしてもゲットしないといけません。それに広川雫は金目ひなた一派の中でも特に弱い存在のようです。手を差し伸べてやってもいいんじゃないか? そう思うと、真田希望のぞみは頭に浮かんだセリフをそのまま言葉にしました。

「わかったよ。友達になろ」

 広川雫の顔がぱっと明るくなりました。

「ありがとう」

 広川雫は手にしてたスマホを真田希望のぞみに差し出しました。真田希望のぞみは何も言わずにそれを受け取りました。

「じゃ」

 と言うと、広川雫はきびすを返しました。が、

「待って」

 その真田希望のぞみの言葉ではっとして動作を止めました。真田希望のぞみが広川雫の左横に来ました。そして右手で広川雫の左手を握りました。

「私たち友達になったんでしょ。いっしょに帰ろ」

 広川雫の顔が笑顔に変わりました。

「うん」

 2人は並んで歩き始めました。


「ただいま~」

 真田希望のぞみは自分の家に帰ると、ものすごいスピードで自分の部屋に入りました。さっそく広川雫のスマホを見ると、そこには信じられない映像が映ってました。

「な、何よ、これ・・・ こんなことされたら、誰だって自殺しちゃうじゃん・・・

 よーし、これをネットで公開してやる!」

 真田希望のぞみは机に座りました。机にはディスクトップパソコンが鎮座してます。さっそくスマホとパソコンをUSBケーブルで接続。映像をパソコンに移動。これをネットにアップロードする気です。

 けど、この映像には山際怜子の一番秘密にしておかないといけない肉体の部分がばっちし映ってます。これをそのままあげるなんて、絶対不可。で、その部分にモザイクぼかしを入れることにしました。

 でも、真田希望のぞみはそんな処理、今まで一度もしたことがありません。ネット上のマニュアルを見ながら操作するものの、思った通りのモザイクボカシはなかなか現れないようです。

「う~ん、もう! もう! もう!・・・」

 真田希望のぞみは熱くなってきました。

希望のぞみーっ、ごはんよーっ!」

 とお母さんに呼ばれても、

「あとでーっ!」

 と応えるだけ。

 と、真田希望のぞみの後ろで突然ドアが開き、お母さんが現れました。

「もう、希望のぞみたら、ご飯だって言ってんでしょ!」

 突然ドアが開いたもので真田希望のぞみはびっくり。

「え?」

 これを見られたらまずい! 真田希望のぞみは慌てて立ち上がり、ディスクトップパソコンのディスプレイを身体と両手で隠しました。

「もう、お母さんたら!」

 が、お母さんは見てしまいました。ディスプレイに映る山際怜子の恥ずかしい姿を。お母さんはあっという間に鬼の形相に。

「あ、あなた、なんなの、その映像は?」

 ああ、最悪・・・ もうこうなったらお母さんにすべての事情を説明しないといけません。

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