侵略者を撃つな! 47

 片岡愛美は右手で思いっきり山際怜子の左胸を突きました。

「ふざけんな!」

 山際怜子の身体は思いっきり吹き飛び、アスファルトに尻もち。金目ひなたはその山際怜子を見下ろし、

「ふ、ちょっと来な!」


「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」

 ここはいつもの公園、いつもの植え込みの陰です。山際怜子が必至に土下座してます。額を地面に擦り付けるほどの土下座。これを金目ひなたたち4人が見降ろしてます。片岡愛美は腕組みして怖い眼差し。金目ひなたと飯島莉桜りおも怖い眼。ただ、広川雫だけは逆にはらはらした眼をしてます。片岡愛美はドスの効いた声で怒鳴ります。

「お前、ほんとうに先生にチクッたのかよ、ええ?」

 山際怜子は土下座したまま、

「してませんって!」

「ふん、信じられるかよ!」

 片岡愛美は疑念的です。一方山際怜子の頭の中ではある思いがグルグル回ってました。

山際れいちゃん、安心して。全部先生に話してきたよ。もうあいつらにカツアゲされることはないよ!」

 それは真田希望のぞみが今朝廊下で山際怜子に伝えたセリフです。

「あ、あれはウソだったの?」

 山際怜子はもうがっくし。もう真田のんちゃんも信用できない・・・ 山際怜子の眼から涙がこぼれてきました。

 金目ひなたはしびれを切らしたようです。

「もういいよ、信じてやるよ!」

 ひなたは右手を伸ばし、

「ほら、今日の分、出しな!」

 けど、山際怜子は反応しません。金目ひなたの顔は急に険しくなり、

「おい、出せと言ってんだよ! いつもの5,000円だよ!」

 それでも山際怜子は反応しません。金目ひなたの顔と声はさらに険しくなりました。

「おい、聞こえてなんいのかよ! ええ!?」

 山際怜子はぽつりと口を開きました。

「ご、ごめんなさい」

「はぁ?」

「もう、お金がないんです・・・」

 金目ひなたはついに激怒。

「そんなの理由になんかよ! おまえんとこ、アニキが障害者てことでお国からたくさんお金をもらってるんだろ? そのお金を持ってこいと言ってんだよ!」

 山際怜子は悔しいのか、唇を噛んでます。両目から涙があふれ出てきました。飯島莉桜りおがそれを見て、呆れたって顔を見せました。

「なんだよ、それ? ウソ泣きかよ、あはは!」

「悪い子はお仕置きしないと!」

 片岡愛美は片脚をあげました。そして・・・

 山際怜子の顔面を踏みつけるように蹴飛ばしました。山際怜子の身体は真後ろに吹き飛び、地面にしたたかに後頭部をぶつけました。山際怜子は思わず声を漏らしました。

「いた・・・」

 片岡愛美はさらに、

「おまけだ!」

 と言うと、片岡愛美は倒れている山際怜子の顔面を思いっきり片脚で踏みつけました。

「ぐふっ!」

 片岡愛美はさらに体重をかけ、グリグリ、グリグリと顔面を踏みつけます。片岡愛美の不気味な笑い声が響きます。

「ほれほれほれ・・・」

「や、やめて・・・」

 山際怜子は自分を踏みつける脚に必死にしがみつきます。が、踏みつけは止まりません。

「あははは・・・」

 金目ひなたと飯島莉桜りおが声を出して笑って見てます。高笑い。けど、あまりにも凄惨な光景に広川雫は両手で口を押えました。思わず漏れそうになった悲鳴を必至に止めたのです。

 しかし、金目ひなたはそれに気づいてしまいました。次の瞬間金目ひなたの視線がキッと厳しくなりました。

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