侵略者を撃つな! 46

「そんな・・・ 私の家と真田のんちゃん家、ぜんぜん別方向じゃん。そんなの絶体ムリだって!」

「ふふ、私はやると言ったら絶対やるよ!」

 山際怜子はあせった顔を見せました。が、それは表面上。実は山際怜子は別のところであせってました。山際怜子の資金が完全に底をついてたのです。

 山際怜子は毎日金目ひなたたちに5,000円ずつカツアゲされ、お小遣いはすぐに底をつき、しかたなく自分に託された預金通帳からお金をおろしてました。が、所詮は小学生の通帳。そのお金もすぐに底をついてしまいました。どうしようかと迷ってるときの真田希望のぞみの決断。山際怜子は土壇場で救われるようです。

 けど、相手は4人組。特にリーダーの金目ひなたのバックには国の省庁があります。正直真田希望のぞみも心の中でびびってました。


 1時間目・2時間目が過ぎ、給食の時間になり、昼休みになり、午後の授業になり、いよいよ下校時刻となりました。

 校舎から真田希望のぞみと彼女に先導された山際怜子が出てきました。山際怜子はびびってます。真田希望のぞみも内心びびってますが、表面上は平常。彼女もびびってたら、形がありませんからね。

 2人の眼の前に校門が見えてきました。いつもだったら金目ひなたたちが現れる場所です。固唾を呑む2人。はたして金目ひなたたちは現れませんでした。ふーっと息を吐く山際怜子と真田希望のぞみ。真田希望のぞみは今朝話をした先生の顔を思い浮かべました。

「あは、あの先生、頼りないこと言ってたけど、ちゃんとひなたたちに注意したんだ」

 山際怜子はその発言を聞いて、安心した顔を見せました。


 山際怜子と真田希望のぞみはこのまましばらく一緒に歩きましたが、途中山際怜子が横目で真田希望のぞみの顔を見ました。そして何かを考え、口を開きました。

「もうここでいいよ」

 真田希望はちょっとびっくり。

「え?」

真田のんちゃんの家、私の家とは逆方向にあるんでしょ? このまま一緒にいたら帰りが遅くなるから、もうこのへんでいいよ」

 真田希望のぞみは考えました。私がいなくなったらまたひなたたちが山際れいちゃんを襲ってくるかも。けど、ひなたたちの犯罪行為は先生に伝えてある。いくらなんでもひなたたちは、もう山際れいちゃんに手を出すことはないんじゃないか?・・・

 山際怜子の家はこの学区の一番端にあります。真田希望のぞみの家も学区の端。しかも完全別方向。真田希望のぞみがこのまま山際怜子の家までついて行ったら、帰宅できる時刻は何時になるか? そこまで考え、真田希望のぞみは応えを出しました。

「うん、わかった。じゃ、ここまでにするよ!

 じゃ!」

 返事する山際怜子。

「うん、じゃね!」

 真田希望のぞみは振り返ると、歩き始めました。真田希望のぞみが角を曲がりました。その瞬間、再び山際怜子を見ました。山際怜子は笑顔。それを見て真田希望のぞみはあらためて安心しました。

 山際怜子は再び歩き始めました。そのときです。

「ふ、やっと行ったか」

 との声が。その声を聞いて山際怜子はびびりました。それは金目ひなたの声だったのです。山際怜子が振り返ると、案の定そこには金目ひなたたち4人組がいました。

「ああ・・・」

 金目ひなたたち4人は、ずーっと2人を尾行してたのです。なんという執着心。

 愕然とする山際怜子。

「ええ、全部先生に話したんじゃないの?・・・」

 それを聞いて片岡愛美が反応しました。

「はぁ、なんだって?・・・」

 が、山際怜子は押し黙ってしまいました。片岡愛美は追い打ちをかけます。

「先生にちくったのかよ、ええ!?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る